「医療費・保障費の削減」「地方創生への産業づくり」「ソリューションの海外輸出」などの観点から、"心身の状態は健康と病気の間で常に変化している"という考え方に注目、病気に向かう状態を表す「未病」の産業に注目が集まっている。先月には千葉の幕張メッセで「未病EXPO」というイベントが開催されるなど、未病の改善に取り組む自治体や医療機関が増えているのだ、。
その先陣を切っている神奈川県では今年4月、未病改善施設・未病バレー「BIOTOPIA(ビオトピア)」(大井町)を開設した。森の中を歩く「森林セラピー体験」や様々な運動が楽しめる「健康チェックブース」、さらには地元食材が堪能できるレストランもある。
予防医療のためのシステムや環境作りを支援しているHPC統合医療研究所の園田俊司会長は「健康な状態を測っておいて、見ることができなかった病気と健康の間を"見える化"し、病気にならないようにすること」と話す。同社が開発したストレスを数値化するシステムでは、指に取り付けたセンサーで心拍数や血管健康情報、身体的ストレス、精神ストレスを数分で測定、スマートフォンアプリで確認することができる。
スマートフォンで申込みと結果の確認が行える「スマート脳ドック」も、未病改善のための検査のひとつだ。前兆の出にくい「脳の病気」は日本人の死因4位になっているが、「脳ドック」はまだまだ馴染みが薄い。
今年1月から始まったスマート脳ドック専門のクリニック「メディカルチェックスタジオ」は、低価格・短時間・スマホで予約可能ということもあり、受診者はすでに1万人を突破。芸能界では道端カレンさんも検査を受けたのだという。
一般的な脳ドックの場合、頸動脈や認知症の検査、医師の問診も含めて1時間半ほどかかるところ、MRIのみで終了するため、所要時間はクリニック到着からわずか20分ほどだ。その手軽さから、お昼休みに検査を受ける会社員も多いという。クリニックの知久正明医師は「普通、脳ドックというと50歳以上の人が奨励されているが、値段も安いので、IT企業や金融関係の若い人が多く、平均年齢は40代」と話す。一般的な検査料が3万円~5万円程度のところ、脳のMRIに特価することで18,900円(税込み)という価格を実現している。
発見できる主な病気には、くも膜下出血の原因となる脳動脈瘤、脳の血管がつまる脳梗塞、自覚症状が出にくい脳腫瘍がある。
「頭痛が多くて、ちょっと疲れたりストレスが溜まったりすると、ダメですね」。そう話すテレビ朝日の小松靖アナウンサーが体験してみたところ、着替える必要もなく、すぐに検査は終了。スマートフォンで脳萎縮や脳梗塞などの細かい項目までチェックできる他、普段は目にすることのない、自分のMRIの画像も確認することが可能だ。さらに脳内の血管を3Dで見ることもできるため、動脈硬化やくも膜下出血の可能性を予測することも可能だ。「早期発見できれば、手術をせずに内科的な治療で済む場合もある。所見も書いてあるので、専門医であれば色々なことがわかる。例えば旅先で具合が悪くなった時にも情報が伝えられる」(知久医師)
知久医師によると、将来は集めたデータをAIで分析することを目指しているという。「若い世代でも病気が見られる人がいるので、今までと違った見解が得られるのではないか。非常に貴重なデータだと思っている」。
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