ただ勝つだけじゃつまらない。一番愛されながら優勝したい。10月1日から始まる麻雀「Mリーグ」の渋谷ABEMASからドラフト1位指名を受けたリーダー多井隆晴(RMU)は、どん欲に全ての面での優勝を目指している。各チーム、各選手が、初代チャンピオンを目指すと語る中「何よりも一番注目のある、一番人気がある、一番愛されるチームにしたいと思っています」と断言した。チームの成績だけでなく、中継の視聴数やパブリックビューイングの人数など、とにかく数字が出るものについては全てトップを狙いに行く。
麻雀プロとして24年生きてきた。その中で、街を歩いている時に、1日に何人も声をかけられるようになったのは、ほんのこの数年のことだ。「今日もここに来る途中にお一人、握手してくださいって言われましてね。僕はしゃべる仕事も多いから、おもしろいことをしゃべるんだろうとプレッシャーをかけてくるんですけど(笑)でも、そういうことをやりたくて、ずっとしゃべりの勉強もしてきたから、たまらなく気持ちいいですね」と、自分の人気を心底喜んでいる。
麻雀では「最速最強」と呼ばれ、自ら率いるプロ団体「RMU」内だけでなく、無数のタイトルを獲得してきた。ただ、いくら勝っても世間的には目立たない。専門メディアに出まくり、コアファンには抜群の知名度を誇るものの、なかなか麻雀プロ全体の認知度が上がらない。そんな思いを抱えてきたからこそ、新時代到来を告げるMリーグの誕生に、心が躍らないわけがない。「なんか生まれ変わろうかなと思って、これはプロ元年だなと、自宅を建て替えたんですよ。家にあった漫画とかアイドルグッズとかも全部捨ててしまって。過去の実績や今の人気、お仕事をいただけている環境とかに、あまり調子に乗らないように、自分を見つめなおそうと思ったんですよ」と、自分だけでなく周囲丸ごとスタートラインに戻した。
渋谷ABEMASには30代の白鳥翔(連盟)、20代の松本吉弘(協会)という2人のかわいい後輩がいる。この2人を成長させながら勝つというのが、多井に与えられたミッションだ。「(サイバーエージェントの)藤田さんには何にも言われてないんですけどね。ただあの人は、そういうことを望むんだろうと。白鳥、松本を最低でも僕の立場まで持ち上げて、数年以内に僕を追い抜かしてほしいですね」と、Mリーグの中心的なチームとなり、その中で次世代のスターを輩出しようという目標を打ち立てた。
自らを広告塔としてRMUの名を売り、引っ張ってきたからこそ、今回のMリーグさらには渋谷ABEMASにおいては、優勝は1つの目標でしかないという。「私は絶対に人気が一番のチームにしたいんですよ。ファンクラブができるなら一番数を多くしたいですし、パブリックビューイングなり視聴数なりでも、多井がいる時、ABEMASがいる時が、一番数字がいいように。それだけは譲れないんですよ」。気後れすることなく、グイグイと前に出る多井の推進力こそが、初代Mリーグ王者と人気No.1の座を一気にその手に近づける。
◆多井隆晴(おおい・たかはる)1972年3月17日、東京都生まれ。B型。RMU代表。主な獲得タイトルは第1、9期日本オープン、第31期王位、第1、3、6期RMUリーグ、麻雀日本シリーズ2015、2016他。著書は「多井熱」「多井隆晴の最速最強麻雀」他。異名は「最速最強」。
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