生きている時間の全てを、麻雀で埋め尽くしたい人がいる。10月1日に開幕する麻雀プロリーグ「Mリーグ」渋谷ABEMASの白鳥翔(連盟)だ。「僕の1つの夢が、本当に麻雀のことだけして生活することなんですよ。気持ちのワクワク感というか、ようやく人生が始まったなという感じですね」と、プロ選手として麻雀漬けになる日が人生のスタートまで言うほど、待ち望んでいる。7チーム各3選手、計21人の選手の中には、こんな思いで戦いに挑む者もいるのだ。
約2000人と言われる麻雀プロの中にあって、30代雀士としては中心的な存在であることを自覚している。8月7日のドラフトでは「僕が選ばれなかったら、僕より下の世代の人たちにとって先駆けみたいな選手がいなくなってしまう。だからこれからの麻雀界の未来のためにも、僕は選ばれないとダメだなと思いました」と、強い意志を持って指名を待っていた。想像以上に早い、渋谷ABEMASからの2位指名を受け「びっくりしましたね。ABEMASの2位の入札がすごく早くて、(1位の)多井(隆晴)さんを取ったら、次は僕だと決めてくれていたんだなと、すごくうれしい気持ちでした」と、驚きと喜びに浸った。
ただ、何よりもうれしいのは、これによって約半年のリーグ戦で、その人生が麻雀一色に染め上げられることだった。「リーグが始まった後のことをすごく考えるんですよ。週に4日、試合があるんですけど、自分の出番じゃない試合でもABEMASの時は会場に足を運ぼうと思っているので、それが中心の生活になります」。自チームの応援や研究に割く時間を増やせば、自分が自由に過ごせる時間はそれだけ減る。だが、白鳥はそれがうれしい。「プライベートみたいなものがなくなっていく感覚なんですが、僕にとっては麻雀が占める時間が増えてうれしいんですよ。常に麻雀のことを考えていればいいんだと。それが認められてよかったなと思います」とまで語った。麻雀プロを続けるためにしてきた様々なことを排除し、至高の一打を選べるようにするために、自分を鍛える。それができることが、何よりの喜びなのだ。
それまで「勝ってくれと思ったことがなかった」多井に対し「この前の対局で多井さんを応援しましたよ」と話し、3位の松本吉弘(協会)とは、日頃から電話で話し合う仲。世代も団体も違う3人だが、チームワークもバランスも非常にいい。髪色を頻繁に変えることで知られる白鳥だが、黒ベースに金の文字が入ったユニフォームに、金髪がよく映えた。「めっちゃ似合うなと、自分で思うんですよ」と興奮気味に話した。麻雀純度100%で生き始める白鳥の手が冴えれば、チームは優勝に向かって金色に輝きだす。
◆白鳥翔(しらとり・しょう)1986年8月27日、東京都生まれ。A型。日本プロ麻雀連盟所属。主な獲得タイトルは第24、25期麻雀マスターズ、第18回モンド杯他。著書は「トッププロが教える最強の麻雀押し引き理論」。異名は「麻雀ハイブリッド」。
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