きのう発足した第4次安倍改造内閣。副総理を兼任する麻生財務大臣や菅官房長官などの"重鎮"を留任させて政権の骨組みはそのままに、安倍内閣としては最も多い19閣僚中12人が入れ替えられ、しかも根本厚労相を除く11人が初入閣組という布陣となった。
今回の人事について、2日放送のAbemaTV『AbemaPrime』ではテレビ朝日政治部の細川隆三デスクとともに読み解いた。
まず、細川氏は全体を俯瞰して「内閣の3分の2を入れ替え、しかもそのほとんどが初入閣。ずいぶん思い切ったことをしたと思う。ただ、"全員野球"というのも、目玉がないということだ。7回目の改造人事なので、さすがに弾がなくなってきたこともあると思う。すでに野党はターゲットにする人に狙いをつけている感じもあるし、両刃の剣とも言える。片山さつきさん以外は名前に馴染みのある人もいないと思うし、当選回数が既に閣僚をやっていてもおかしくない7回、8回という方もいらっしゃる。フレッシュな感じがあまりしないので、口の悪い人は『在庫一掃内閣』と言っている。確かに働きぶりはまだよく分からないが、僕はそういうことは言いたくない。内閣の評価は仕事をしてなんぼだから、むしろエールを送りたい」と話し、「来年7月には参議院議員選挙があるが、消費税引き上げもあり、安倍政権にとっては厳しい選挙になると言われている。また、安倍総理が総裁選で社会保障改革をやるんだと言っていたように、その成果を打ち出したい。今回、茂木敏充さんをその担当にし、何とか進めていこうというのは感じる」との見方を示した。
次に、今回注目を集めている片山さつき地方創生担当大臣について、元経産官僚でコンサルタントの宇佐美典也氏は「キャラクターの話ばかりが先行しているが、財務省時代には各省庁の予算査定をする立場にいたので、ネットワークも持っている。政治家になってからも経産省と総務省の政務官をやってきたので、規制改革について物申す立場である地方創生大臣なら、その経験も活かせる。ただ、頭が切れすぎて、その頭脳に付いて来られない方はちょっと(笑)。その点、"人望"が…というところはあるが、元官僚としては頑張ってほしい。災害復興も仕事の一つで重要なポストだし、地方創生関連の予算が中小企業支援の方向に向かう中、活きのいい企業を見つけてきて伸ばす、というところをやってほしい。片山さんにとっても、ここで成果を出さなければ今後の活躍の場が広がらないので、正念場だと思う」とコメント。
また、慶応大学特別招聘教授の夏野剛氏は「これから人口がどんどん減っていく中、よっぽどのことをやらなければ創生はできないと思う。それにはものすごい反発があるし、お金もかかる。これまで地方出身の人がやってきた地方創生大臣を比例区選出で都会を中心に生きている片山さんがやって、どう実績を残すか」と指摘すると、細川氏は「最初に地方創生大臣について石破さんも含めて、実績を残した人はいない」と応じていた。
そんな夏野氏は、NTTドコモやドワンゴの経験から、石田真敏総務大臣と、平井卓也IT・科学技術担当大臣に期待を込める「IT技術を反映しておらず、電波利用の仕方が日本は非効率。総務省は非常に保守的で技術の許認可のスピードも遅く、野田聖子さんも官僚を守る人だった。今回石田さんに変わって、携帯電話料金の話もどう動くのか楽しみだ。平井さんは自民党のネット戦略をずっとやってきた人で、ITに最も理解のある議員の一人であることは間違いない。期待したいのは政府のIT化。政府、役所の手続きや電子決済が全然進んでおらず、海外に比べて2周も3周も遅れている。これだけ技術が進んでいるのに、大企業を中心として恩恵を受けられておらず、世界的に見ても稀有な"成長のない国"。そこを突破するきっかけになってもらえれば」。
さらに、総裁選で安倍総理との一騎打ちを演じた石破派から唯一入閣した山下貴司氏にも注目が集まっている。細川氏は「これは配慮でも何でもない。石破陣営の中心人物で、まだ入閣していない人がたくさんいる中、能力で一本釣りされた。"魔の3回生"と言われている当選3回目だが、非常に優秀な方でベテランでも若手でも悪く言う人はいない」と評価、宇佐美氏も「世界で一部の人しかなれないフルブライト奨学生として留学した経験もある。"フルブライター"というネットワークを持っているし、官僚としても議員としても実績も挙げてきた人。誰かにおもねる必要もない人」とコメントした。
会見で「明日の時代を切り開くための全員野球だ」と述べた安倍総理。日本を率いる最後の3年間、この陣容で何を成し遂げようとしているのだろうか。
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