15日の臨時閣議で、安倍総理が来年10月に消費税を10%に引き上げることを表明した。これはそもそも8年前の旧民主党政権時代、当時5%だった消費税について「2年後に8%、そして2015年には10%にまで引き上げる」という自民・公明・民主の"3党合意"で決定したものだった。
ところが自民党の政権奪取後の2014年11月、安倍総理は「アベノミクスの成功を確かなものとするため、18カ月延期すべきであるとの結論に至った」と、10%への引き上げを1年半後に先送りすると発言。さらにその1年半後には「2020年度の財政健全化目標はしっかりと堅持する。そのためギリギリのタイミングである2019年10月には消費税率を10%へ引き上げる事とし、30カ月延期する事とする。その際に軽減税率を導入する」とし、2度目の延期を決断した。
2度も先延ばしとなった増税を実施する理由は、幼児教育の無償化など、全世代型社会保障への転換と財政健全化のためだ。
菅官房長官は今回の表明について「年末にかけてこれから具体的な議論を進めていくため、このタイミングで(安倍総理は)発言された」と説明している。これについてテレビ朝日政治部の足立直紀記者は「予算作業から逆算してこのタイミングしかなかった。国会対策や統一地方選を見据えたものではない」と説明、慶応大学特別招聘教授の夏野剛氏も「店舗などはレジの入れ替え準備をしないといけないので、あと1年しかないギリギリのタイミング。むしろ遅いくらいの決断だった」と指摘する。
一方で心配されているのが、増税後の景気冷え込みだ。菅官房長官は「前回の経験を活かして、あらゆる政策を総動員して経済に影響を及ぼさないよう全力で対応したい」と話し、懸念される消費の落ち込みに対する対応策として以下の4つの対策が示された。
1.税率引き上げ分の半分を国民に還元(来年10月1日から幼児教育無償化など)
2.軽減税率を飲食料品に導入、8%据え置き
3.ポイント還元や消費税還元セール
4.自動車や住宅は増税後の購入にメリットを
すでに一部の食品への軽減税率が導入されているオーストラリアで生活しているエッセイストの小島慶子氏は「生活必需品については消費税0%の方がいいと思うが、消費税がかからない普通の生鮮食料品を食べていれば節約できるし、外食で贅沢すればたくさん税金を払うことになる」と、一定の理解を示す。
作家の乙武洋匡氏は「言い換えれば分配のためのものなので、増税自体には賛成だ。ただ、広く薄く取る消費税がベストなのか。裕福なところから大きく取るという議論もあってしかるべき」と指摘した上で、「軽減税率の対象品目が非常に曖昧で恣意的だと思う。特に宅配新聞は8%のままだが、生活に絶対必要なものかといえば、インターネットでニュースが読めるので、そうではないと思う。なぜなのか。政策を悪く書かれないためにやっているわけだ」とコメント。夏野氏も「新聞社がものすごいロビイングをした。だから新聞は自分たちの軽減税率については書いていない」と指摘していた。(AbemaTV/『AbemaPrime』より)
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