
26日、映画『孤狼の血』が東京・TOHOシネマズ 六本木ヒルズで上映され、主演を務めた役所広司と監督の白石和彌がティーチインに出席した。同作は『第31回東京国際映画祭』(TIFF)の特集上映「映画俳優 役所広司」の1本として上映。『孤狼の血』の舞台は暴力団対策法成立直前、昭和63年の広島の架空都市・呉原。役所は手段を選ばない捜査方法からヤクザとの癒着を噂されるマル暴刑事・大上章吾を演じた。

今回初めて東京国際映画祭に参加した白石監督は「東京国際映画祭は近くて遠い映画祭だったんですが役所さんが連れてきてくれました」と挨拶。今年で俳優生活40周年を迎える役所は、「呉原というダーティーな街に舞い降りた天使だと思って演じました」「街でしょっちゅう痰を吐く天使でした」と大上役を振り返った。
同イベントでは直前に役所主演の『キツツキと雨』を上映。『孤狼の血』では捜査のためなら放火に拷問、賄賂、なんでもありのワイルドな刑事を演じた役所だが、『キツツキと雨』では、息子と2人暮らしの木こりという穏やかで『孤狼の血』とは真逆の役柄を演じている。多種多様な役柄を演じる役所、MCから役の演じ分けについて聞かれると、「(過去に)『眠る男』『Shall We ダンス?』『シャブ極道』を続けて撮影したことがあるんですけど、『眠る男』は沈黙が多い映画で。次は『Shall We ダンス?』で、『シャブ極道』だったんですけど、そのときは暴れたくてしょうがない自分がいましたね(笑)」と当時の心境を振り返り、「演じている方はそのギャップを楽しんでいるところがありますけど、お客さんもそのギャップを楽しんでもらえるといいなと思っています」と語った。

観客からの質疑応答の時間では、インドネシア出身の女性から「役に入り込みすぎて抜けなくなってしまうことはないか?」という質問が。役所は「僕は、撮影が今日でおしまいってときに、役がどっかいってしまいますね」と回答。「撮影中は……僕はそうではないと思っていますけど、うちの妻なんかは『変な奴が帰ってきた』という感じになるらしいです(笑)。だとすれば、撮影中は、役の人物をどこかで繋ぎとめているんでしょうね。でも、終わったら、すぐいつもの自分に帰ります」と語っていた。









写真:野原誠治
テキスト:堤茜子
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