将棋のタイトル戦の1つ、王座戦の五番勝負第5局が10月30日、山梨県甲府市の「常磐ホテル」で行われ、挑戦者の斎藤慎太郎七段(25)が中村太地王座(30)を109手で下し、対戦成績3勝2敗で、王座のタイトルを獲得した。斎藤七段は悲願の初タイトルとなった。
第1、2局を挑戦者の斎藤七段、第3、4局を中村王座が勝利と、お互いが実力を発揮しフルセットにもつれ込んでいた五番勝負は、振り駒の結果、貴重な先手番が斎藤七段に。序中盤から優位に進めると、持ち時間の残りでも大きく差を広げた。終盤、しっかりと時間を使いながらさらに優勢を築くと、中村王座の持ち味である粘りを許さず、見事に勝ちきった。対局後、斎藤七段はシリーズについて「全体的にどちらが勝ってもおかしくない将棋ばかりで厳しかったです。最後に踏ん張れたのは、少しは成長できたのかなと思います」と振り返ると、初タイトルについては「この1、2年は若いタイトルホルダーがどんどん増えて棋戦優勝者も増えて、私はなかなかそこに届かなかったので、そういうところで満足できているところはあります。実感というのはないですが、これからしっかり将棋の実戦、普及ともに精進しなければという思いです」とかみ締めていた。