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 ある時は野太い声で読経する真言宗の僧侶、またある時は山伏として厳しい修行を行う修験者。さらにはトランスジェンダーのAV女優でもあるというかとうれいさん。7日放送のAbemaTV『AbeaPrime』では、「職業はAV女優。本業は僧侶。人生を賭けた実験」と話すかとうさんの生き方に迫った。

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■フリーランス僧侶として活動

「元来、お寺に入らないといけないということはなく、お寺のないお坊さんもいっぱいいた」。現在、フリーランスの僧侶として特定の寺には所属せず、自宅の小さな地蔵を前に日々のお勤めをするかとうさん。依頼があれば法要などの仏事もこなし、困っている人の人生相談にも乗っている。生まれつき霊感があるといい、除霊の仕事までこなしている。この日は、取り憑かれやすいという仲間の僧侶に師匠直伝のお祓いを行っていた。

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 そんなかとうさんが心安らぐ時間だというのが、支援者との時間だ。時には食事を御馳走になることもあるという。「ご飯食べにおいでと。あんまり飯も食べてへんやろと。やせ細ってるから」「子どもらも懐いている。れいちゃん、れいちゃんって。来るって言うたらめっちゃ喜んでしまって」と笑うご主人に、「ありがたいこと。こういった方々のおかげで私は生かされている」とかとうさん。こどもたちも、「優しい。あと幽霊とか教えてくれる」と、かとうさんのことが大好きなようだ。

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■性の違和感を打ち消すため、修行に没頭

 そんな気のおけない人々との心癒される時間にふと思い出すのは、仏の道を志すきっかけとなった幼少期のことだ。「家庭環境があまりよろしくなかった。子ども心に頼っても人は助けてくれないけど、仏さんは助けてくれるだろうって」。5歳で育児放棄していた親元を離れ、祖父母の家で暮らし始めると、山伏であるおじの助言をきっかけに、僧侶になるための修行を始めた。

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 修行にのめりこんだ理由はそれだけではない。小学生の時に感じた"性の違和感"があり、中学生で男の子に初恋をして告白するも、玉砕してしまう。「侍のようなおじいさまだったので、"何でランドセル赤やないの"と聞いたら、逆に怒られるみたいな。でも、仏ならば、頑張っていれば私を変えてくれるのかもしれない。男性なら男性、女性なら女性の体、どっちかに変えてくれるんじゃないか。そう信じて打ち込んだ」。

 夢中で突き進んだ結果、高校生の頃には修行作法を指導できる山伏の先達になり、仏教系の大学にも入学、得度した。そして大学では教員から思わぬ言葉をかけられる。「"仏さんというものは、時に男性的で、時に女性的である。男性でも女性でもない。しかしながら男性でもあって女性でもあるんだよ"と言われた。私はすかさず"先生、仏さんってみんなニューハーフさんですか"と質問した。すると"それ以上答えさせないでください"と言って頭をぐっと下げはった。それを見て"あ、これいける。これが元来の仏の姿なんだ。自分、受け入れて良いんだ"と思った。次の日から、女子化して学校に行き始めた」。そしてかとうさんは女性ホルモンを打ち始め、女性の姿になっていく。

■バール肋骨を折り、豊胸も…

 今では"金髪ギャル"の容姿だが、ここに至るまでは様々な苦労もあった。バールで肋骨を折り、さらしで巻いてくびれを演出、さらには喉仏を金槌で叩いて凹ませた。

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 「男性と女性の違いといったら、やっぱり身体の形だから。いくら痩せても変わらないし、お金もないから思いつめて。もともと剣道部だったので、後輩に木刀買ってこさせて、"ぶら下がるから、叩いて折ってよ。1本折ったら1万円あげるからね"なんて言って。すごく痛かったけど折れなかったので、今度はホームセンターでバールを買ってきて"次こそはお願いしますね"と。見事に折れた。水中で塩ビパイプをボキッと折った時みたいな音が体の中でした。死んだら死んだ時。仏がそうさせた。病院に行ったら怒られるから、さらしを巻いて、ウイスキーを飲んで我慢した(笑)」。

 豊胸、睾丸も摘出、胸も大きくした。しかしその結果、滝行がしにくくなったという。「最初は"筋肉だ"で通っていたけど、豊胸してしまうとそれでは通らない。でも信仰心は捨てられないから、人目につかないところでさせていただいている。まだまだ理想の身体ではないし、あくまでも半端者だから、これからも追求し続けて生きていこうと思っている」。

■人に寄り添いたい…AVに出演する理由

 "仏様もニューハーフ"。そう悟ったことで悩みから解き放たれたかとうさんは、自分らしい仏の道に挑戦し始める。「本当に助けが必要な人は、寺には来られないと思っている。女性ならば性風俗、アダルトの世界。だから私はそういった方に限りなく歩み寄っていきたい」。そんな思いから、去年AVデビュー。すでに2作品に出演している。仏教とはかけ離れ、むしろタブーだと思われがちな性行為も、修行に近い側面があると考えているという。

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 「性行為の快楽を転用させて仏になろうとした宗派があった。でも日本では邪教だとして弾圧されてしまった。でも、それで納得してしまってはだめだと思い、実際に試してみようと思った。さまざまな書物を見たところ、性行為の絶頂の状態と、瞑想状態の絶頂の状態、よく似た脳の脳波らしい。これはもしかしたら瞑想状態から入るところに入る近道なんかもしれない」。

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 なんと、お坊さん役での出演の出演も果たした。「仏教なら禁欲だろうと言われるかもしれないけど、修行して仏さんになりたいとか、人を助けたいと思う気持ちも欲。欲を捨てて、"ない"を求めることも無限かもしれないけども、欲を追求していくこともまた無限。それも仏の境地ではないか」。

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■女人禁制の山にあえて挑む

 さらにかとうさんは、かつて経験した修験道にも再び挑んでいる。山伏の正装で向かったのは、女人禁制のしきたりが何百年も続く、修験者のための山だ。師匠の勧めもあり、"ニューハーフ僧侶"だからこそたどり着ける新しい境地を求めて登ることを決意したという。不安を抱えながらも、女性は入ることが許されない「女人結界門」をくぐる。

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 「そりゃ緊張しますわ。やはり普段がほとんど女だから引け目も感じる。女と男を使い分けていると思われたくない。でも信仰は捨てられない。その中で自問自答の末、山の上の神さん会うために」。

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 険しい山道ですれ違うのは全て男性だ。4時間後、標高1700mの頂上にある山寺に到着すると、「登っている時は、誰よりも行者らしい男でいよう。無理にひん曲げてでも、それをこの山の中ではせねばいかん。そういう気持ちにさせてくださった」と力を込めた。

■「自分の信じる方法で人を助けよう」

 寺離れや、宗教に関心がない人が増えたと言われることについて、「仏教は助けを求める宗教じゃない。諸行無常、変わりゆく世の中でいかにそれを受け入れ、生きていくかという哲学。心の支えがないっていうことが、だんだん人々の心の闇を広げていっていると思う。仏教に課題はたくさんある。色々なしがらみやしきたりができてしまって、人が入りにくくなっている。私でも行きたくない。絶対怒られるから」とかとうさん。

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 ジャーナリストの堀潤氏は「かとうさんのTweetに、"本当の意味で人に寄り添い菩薩行に身を置けば破戒僧になってしまうのです。私が浮いて見えるという事は、本当の意味で菩薩行に身を転じることのできる僧侶が減っている証拠。私のような僧侶が普通の僧侶に成る世界が早く来ます様に(合掌)"というのがあった。思考の多様性みたいなものをご自身が体現されていると思った」と話す。

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 するとかとうさんは「破戒僧。あんな奴と一緒にいたら"悪魔にでも憑かれるぞ"」と言われることもあるとしつつ、「悪魔であったとしても、それを求めている人間がおるから。だったら私、悪魔になろう。それでいいと思う。仏教の懐は無限に広い。こういう僧侶がいてもいい。そもそも僧侶が身につける"袈裟衣"は、もともと糞尿を洗った汚い、見苦しい衣という意味。つまり、より歩み寄る気持ちで接するために身に付けたものであって、きらびやかな袈裟にありがたさなんてない」と指摘する。そして「どうして私がここの場に生きているのか"という自問自答はずっと続けているし、それが一番私らしい姿なのかもしれない。自分の位が上がる、自分の寺を持つ、真面目な笠をかぶって坊さんをする。それもおそらくできたと思うけど、私は結果としてできなかった。だから自分の信じる方法で人を助けようと。それが私なりの編み出した方法"で、蛇の道に堕ちたわけじゃない」と話していた。

 仏の道を模索するかとうさんの旅は今日も続く。(AbemaTV/『AbemaPrime』より)


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