本国アメリカだけでなく東京でも行われ、世界各地で約2万人の従業員が参加した、Google社のセクハラ対応に抗議するデモ。それに対しGoogleが打ち出した方針は意外なものだった。
事の発端は先月25日、GoogleのピチャイCEOが過去2年間に経営幹部クラス13人を含む48人の従業員を解雇したと明らかにしたことだ。この48人について、当初は"退職金を受けとっていない"と説明されていたが、2014年にセクハラを理由に解雇された元幹部で「Android」開発者としても知られるアンディ・ルービン氏に対して約100億円の退職金が支払われているとニューヨーク・タイムズ紙が報じたことで状況は一変。従業員たちは激怒し、Twitterで全世界の従業員たちにデモとストライキを呼びかけたのだ。
Google本社(カリフォルニア州の)では1日午前、従業員たちが次々と仕事を放棄する姿が見られ、ニューヨークでは「私たちは会社の透明性、説明責任と構造的な変化を要求する。会社の強制的な仲裁も拒否する」と声を張り上げる社員や、「私は7年間Googleに勤めている。これまでセクハラと性差別を受けてきたが、泣き寝入りを強要され、忘れようと努めた。でももう我慢できない」と訴える社員もいた。
ピチャイCEOは抗議活動を受け、「ストに参加したスタッフたちの意思を尊重し、問題を解決するための措置をとる」と約束。そして8日に発表したのが「セクハラ対策と特別チームを編成」「全ての従業員にセクハラに対するトレーニングに参加することを義務付ける」「セクハラに関する調査の過程、結果の透明性を高め、被害を申告した従業員へのケアを強化」「被害者と加害者の強制的な仲裁はしない。しかし、当事者からの要望があれば仲裁する」という対応策だ。
さらに同社は「アルコールは決して言い訳にならない」「ハラスメントは容認できない。しかし、現在Googleで申し立てられているハラスメントにおいて大きな原因となっているのは加害者の飲酒だ」と指摘、セクハラ加害者の20%が飲酒していたことから、会社の行事での飲酒は2杯までとし、ドリンクチケットの導入も決めた。これまでにも仕事関係の飲酒について2杯までの制限を設けていた部署もあったというが、今後は全ての部署に義務付けられる方向だ。
酒席でのセクハラは、日本でも度々報じられている。「カラオケで『デュエットしよう』と肩に手を置く」「『髪きれいだね』と髪の毛を撫でる」「『恋人いるの?』『最近エッチしてる?』」「おっぱい大きいね!何カップ?」「君は仕事ではドSだけど夜はドMなんでしょ?」といった言葉のセクハラもよく報じられるものだ。
コンサルタントの宇佐美典也氏は「セクハラ・パワハラには"対価型"と"環境型"の2種類がある。前者は"セクハラを受け入れれば良いことがありますよ""受け入れなければ悪いことがありますよ"というもの。これらは明らかに違法行為だし、なくなりつつあると思う。ただ、後者は例えば職場にヌード写真を貼ることなど、昇進などに響くわけではないが、嫌悪感を抱かせるようなもの。これは人によって受け止め方も異なるものだし、理論上根絶はできないと思う」と指摘。その上で「啓蒙、周知だけでなく、被害を受けたと感じたら窓口に相談するなどのアクションがとれるという"3点セット"が重要だ。今回Googleは、防止のために踏み込んだルールを作った。啓蒙・周知の前に規制に入ろうというこの動きが社会に広まっていくかどうかが注目される」とコメントした。(AbemaTV/『AbemaPrime』より)
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