南野拓実は、凡人がうらやむスペックの持ち主だ。
セレッソ大阪でデビューしたのは、高校在学中の17歳。すぐに頭角を現すと2年目には不動のレギュラーポジションをつかんだ。さらに、19歳で日本代表に初選出される。当時のアルベルト・ザッケローニ監督は、ブラジルW杯の23人に南野を選ぶかどうか最後まで迷っていたという。
そんな天才を欧州のスカウトが見逃すはずはない。2015年には、オーストリアの強豪クラブ、レッドブル・ザルツブルクからオファーを受けて3年契約。Jリーグデビュー、日本代表選出、欧州移籍とエリート街道を突っ走ってきた。
さらに、南野といえば、そのイケメンぶりも突出している。ちなみに、「南野拓実」と検索をすれば、関連キーワードには「イケメン」が一番上にくる。もしもサッカー選手になっていなかったとしたら、元東京ヴェルディユースの竹内涼真のように俳優として有名になっていたかもしれない。
ちなみに、南野はセレッソ在籍時にJリーグイケメン図鑑という動画に登場している。「チャームポイントは?」という質問に対しては、はにかみながらも「笑顔」と答えていた。
サッカーが上手くて、超イケメン――。
これ以上、何を欲しがるのかと思うぐらいだが、南野はいつもギラギラしている。
「次に選ばれることに集中したい」
「チームで結果を残さないと代表はない」
「公式戦で何かしなければ何も意味がない」
「アジアカップもどうなるかわからない」
これは、10月に南米の強豪ウルグアイを相手に2ゴールを挙げて勝利した後のコメントだ。まだ23歳なんだし、ちょっとは浮かれてもよいのではと思うのだが、南野からそういう雰囲気はまったく感じられなかった。
南野と前線でコンビを組んだFWの大迫勇也は「拓実は貪欲だから……」と、そのハングリー精神に脱帽する。大迫はロシアW杯でも攻撃の中心として活躍した選手で、南野よりも5歳年上だ。そんな大迫に対しても遠慮するどころか、自分がゴールを決めてやろうという気持ちを前面に出すのが南野流だ。
「自分がシュートを打つことしか考えていなかった」
ウルグアイ戦の前半10分に決めたシーンについて、南野はこう振り返っている。ボールを受けた場面では、南野の背後にはウルグアイの選手が2~3人いた。しかし、南野は鮮やかなターンでマークを振り切ると、ドリブルで持ち運んで強引にシュートをねじ込んだ。
3試合連続で4ゴールという、突出した結果を残せているのは、そんな貪欲な姿勢の賜物といってもいい。
来年1月に行われるアジアカップに向けて、日本代表が強化試合をできるのは16日のベネズエラ戦と、20日のキルギス戦の2試合のみ。南野は、これまでワールドカップ、コンフェデレーションズカップ、アジアカップといった日本代表の公式大会にはまだ選ばれたことがない。
10代のころから、「将来はビッグクラブでプレーしたい」「ワールドカップに出たい」と語っていた南野。だからこそ、目の前にある強化試合、その先にあるアジアカップと一つ一つ階段を上っていかなければならない。
野心に満ち溢れた男は、ベネズエラ戦でも貪欲にゴールを狙う。
予想サイトの『SUPERCHOICE』では、今回の日本代表戦で「日本代表対ベネズエラ代表に勝利するのは?」、「この試合で日本代表のファーストゴールを決めるのは?」という投票を開催中。ファーストゴール予想では、大迫、南野、中島翔哉、堂安律といった攻撃陣に人気が集まっている。
文・北健一郎(SAL編集部)
写真・アフロ