白鵬、鶴竜の両横綱が場所前に休場を表明。初の一人横綱となった稀勢の里も初日に躓くと場所前の稽古で圧倒していた妙義龍、北勝富士にも金星を配給するなど、1勝もできずに五日目から不在に。序盤で3横綱が姿を消し、頼みの大関陣も今ひとつピリッとせず、優勝争いは混迷の様相を呈している。
その中で初日に稀勢の里を撃破した小結貴景勝が突っ走っていたが七日目、御嶽海に敗れて全勝が消えた。3横綱不在は今年名古屋場所以来だが、このときは関脇御嶽海が初優勝している。今場所は八日目の時点でトップが1敗の貴景勝。これを2敗で6人が追う展開となり、誰が優勝するか予想もつかず、初優勝力士が誕生する可能性も高い。
史上最大の“戦国場所”と言われたのが1972年初場所。この場所は一人横綱の北の富士が大不振で途中休場。4人いた大関も2人が休場し、最高成績は琴櫻の10勝という体たらく。賜盃を抱いたのは前頭五枚目で11勝4敗の栃東だったが、千秋楽の大関清國戦に敗れていれば、10勝5敗の8人による優勝決定戦になっていたという混迷ぶりだった。
1996年九州場所も無敵を誇っていた横綱貴乃花が全休したせいか、星の潰し合いとなり、横綱曙、若乃花、武蔵丸、貴ノ浪の3大関、さらに関脇魁皇が11勝で並び、この5人による優勝決定戦を制した大関武蔵丸が2度目の優勝を果たした。
2012年夏場所は横綱白鵬が中盤で3連敗を喫し、一気に混戦状態に。14日目の時点で3敗は大関稀勢の里と平幕の栃煌山と旭天鵬。4敗の横綱白鵬、平幕の隠岐の海と碧山も含めた6人に優勝の可能性があったが、最後は栃煌山との史上初の平幕同士による優勝決定戦をモノにした37歳の旭天鵬が史上最高齢初優勝を成し遂げたのは記憶に新しい。
今場所は混戦とは言っても、優勝ラインはそれほど下がらないかもしれない。3横綱不在は寂しいが、優勝争いという意味では俄然、面白くなってきた。
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