「何て言うんですかね、この方はいい相撲はとっているんですよ。当たりは良いし、前にも出るし、足も出ています。ただ……」
23日にAbemaTVで放送された大相撲九州場所で解説を務めた元小結の旭道山が言及した力士は、大関取りに望みを繋いで今場所に臨むも、十三日目までに6勝6敗と精彩を欠く関脇・御嶽海(出羽海)だ。期待が大きかっただけに、旭道山の語気は自然と強くなっていった。
「後半に息切れをするとか、まだまだ足りないと言われるのは、少し甘い考えもありセンスで相撲を取っていたから。番付を上げれば上げるほど、センスで相撲を取り切ることはできないんです。もっともっと稽古に精進して、今以上の自力と馬力をつける必要がある。そして最後には強い気持ち。根性なんです」
この言葉に反応したのは、ゲストで登場していたボクシング元世界チャンピオンの具志堅用高氏だ。「ボクシングの世界では練習では世界チャンピオン以上に強い選手が稀にいる。ただリングに上がると話しは別。手が出ない、相手のパンチが怖いんです。やっぱり自信と勇気は必要。そしてそれは、自分が戦いに勝って積み上げていくしかない。そして、克服するには練習も含めてやるしかない」と話した具志堅氏は、苦しい状況が続いている御嶽海の奮起を促した。
一方この日、前頭五枚目の千代大龍(九重)と対戦した御嶽海は立ち合いの変化も虚しく、千代大龍に叩き込みで敗れて7敗目を喫した。大関とりどころか、負け越しも現実味を帯びてきた一番に対して旭道山は「全く足が残っておらず、踏ん張りも利いていなかった。負け越しが迫っている力士は足が動かないものですが、それにしても……」と不甲斐ない取組にコメントも少なかった。
良いところ無く敗れた御嶽海の一番を受け、館内は直後にため息が。その後しばらくの間、ざわめきが収まらなかった。
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