日産自動車は22日、臨時の取締役会を開きカルロス・ゴーン容疑者を会長などから解任することを決定した。ゴーン体制終焉後の新経営陣がどのような"ハンドルさばき"を見せるのかが注目される。
現在、自動車業界の流れは2016年のパリモーターショーでダイムラーが提唱した"CASE"と呼ばれる方向に進んでいる。Connected(つながる)、Autonomous(自律走行)、Shared(共有)、Electric(電気)のことを指しており、ゴーン容疑者も早くからEV(電気自動車)分野の開発を押し進めていた。
欧米や中国の環境基準が高まる中、各国のメーカーもEVに力を入れ、まさに戦国時代になりつつある中、日産はこの分野で世界をリードする存在になった。今年3月には2022年度までに電気自動車など電動車を全世界で年間100万台を販売する計画を発表している。
中でも次世代急速充電器の開発では中国の業界団体と組み、2020年の実用化を目指してきた。今年8月、志賀俊之取締役は北京での共同開発署名式で「日中両国で次世代高出力規格を共同開発し、それぞれの規格と互換性を確保すれば、世界における標準規格として確固たる地位を示すことができると信じている」と述べている。
しかし一連の騒動の影響なのか、来週28日に予定していた電気自動車、新型「リーフ」の発表会は延期。ゴーン容疑者が去った日産に灯る信号は赤か、それとも青か。
日本EVクラブの舘内端代表は「実は90年代に日産はソニーと組んでリチウムイオン電池のEVをやっており、ゴーンさんが来る前にすでにできあがっていた。そこから風が吹いてきたのでEVにシフトした。背景にはハイブリッドがまだできていなかったことがある。世界がトヨタのプリウス一色に染まっていく中、日産はどうするのかと。その切り札として、90年代にやっていたEVを出していくことにした」と話す。
実際に日産のEV車「リーフ」を見てみると、ボンネットの中はスッキリとしており、排気ガスが出ないためマフラーはない。「プロパイロット」と自動運転の新技術も搭載しており、前を走る車や車線中央にある白線をモニターし、自動的に車間距離、ステアリングをコントロールしてくれる。さらに「プロパイロット パーキング」では3ステップの操作で駐車が完了するまでドライバーをアシスト。ステアリング、アクセル、ブレーキ、シフト、さらにパーキングブレーキまでが全て自動制御となっている。
舘内氏は「これが世界で一番量産されている。量産技術に関しては日産がトップだ。これを生き残らせるようにしないと日産はダメになる」と指摘。
立教大学ビジネススクール教授の田中道昭氏は「初代は7年間で28万台売っている。それは少ないともいえるが、これだけの資産があっての2代目。量産化という意味では一歩先行している」と評価しつつも、「欧州の中ではルノーも進んでいた。しかしダイムラーやフォルクスワーゲンなどが急速にテクノロジーを伸ばしており、これらに凌駕されつつある。CASEのうち、EVではまだ競争力を保てているが、つながる車、自動運転、シェアリングサービスでは3社連合(日産、ルノー、三菱)はむしろ圧倒的に遅れている。日産の経営陣としては自分たちでCASE全般を伸ばしたいという思惑があると思う」との見方を示した。
ゴーン体制後の日産のEVがどうなっていくのか、注目だ。(AbemaTV/『AbemaPrime』より)
▶放送済み『AbemaPrime』は期間限定で無料配信中
■Pick Up
・【Z世代マーケティング】ティーンの日用品お買い物事情「家族で使うものは私が選ぶ」が半数以上 | VISIONS(ビジョンズ)