元幕内で三段目三十三枚目の宇良が土俵復帰2場所目となる今場所、7戦全勝優勝を果たし、来場所の幕下返り咲きは確実。復活ののろしを上げた。優勝を決めた一番は幕内時代よりも二回りは大きくなった体で輝富士を一気に押し出すパワー全開の相撲だった。
かつては反り技を得意とするアクロバティックな相撲でファンを魅了し、前頭四枚目だった昨年名古屋場所は金星も獲得したが、その場所で右膝靭帯を損傷。翌秋場所も出場したが、さらに患部を悪化させて手術に踏み切った。
1年ぶりに土俵に復帰した先場所は三段目九十一枚目で6勝1敗と惜しくも優勝を逃したが、今場所はまさに段違いの実力者ぶりを存分に発揮した。立ち合いで相手の足を取りにいくなど、以前のような小兵業師らしい取り口も見せるが、7勝のうち、押し出しが3番。突き出しも1番とかつての“サーカス相撲”から正攻法の押し相撲へと確実に進化を遂げている。特に6番目の相撲は自身より16センチも身長が高い、将来の大器である琴手計との実質的な“三段目優勝決定戦”をパワーとスピードで完全に圧倒する相撲で押し出し。幕内経験者の意地も垣間見せた。
来場所の番付は幕下三十枚目前後となりそうで、目標である関取復帰に着実に近づいている。順調にいけば来年後半には幕内に返り咲きそうだが、そのときはもはや以前のような変則相撲はほとんど見られないかもしれず、筋肉の鎧を身に纏ったニューバージョンの宇良が土俵を席巻していそうだ。
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