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 防衛省は20日、新しい「防衛計画大綱」の骨子を与党や有識者会議に提示した。

「防衛大綱」とは、向こう10年程度を見据えて策定される、日本の安全保障政策に関する基本的指針のことだ。今回は「宇宙領域における脅威」「電磁波領域における脅威」「サイバー領域における脅威」に対し、どのように対抗していくのかが重要なポイントとして明示されている。

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 中でも、世界中で常時様々な攻撃が行われているサイバー攻撃の対策は急務だ。23日放送のAbemaTV『AbemaPrime』に出演したジャーナリストの山田敏弘が監修した"サイバー部隊ランキング"では、1位・アメリカ、2位・ロシア、3位・中国、4位・イスラエル、5位・イラン、6位・北朝鮮となっている。アメリカの"サイバー軍"には約6200、国家安全保障局には約3万5000の人員がおり、質も高いという。

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 山田氏は「アメリカは予算もすさまじいし、組織もきっちりしている。さらにCIAのような組織もある。日本の給与水準が問題だという指摘もあるが、アメリカもそこまですさまじい給料というわけではない。ただ、アメリカが誇る最新技術やサイバー防衛の最前線で自分の力を試せるし、国を守れるという認識もある。むしろその実績を持って辞めた後に高い給料をもらえる」と話す。

 一方、自衛隊の場合、統合幕僚監部のサイバー防衛隊が防衛省・自衛隊のネットワークの監視をし、事案発生時の対処を24時間体制で実施している。また、サイバー攻撃等に関する脅威情報の収集、調査研究を一元的に行い、その成果を省全体で共有している。ただ、人員は150人規模だ。今後の強化策としては、サイバー防衛隊の増員や高度な技術や知識を持つホワイトハッカーの任期付き採用を検討し、一部業務を外部委託することが検討されている。また、サイバー防衛を担う予備自衛官の育成を行うという。予備自衛官は、平時には民間企業に勤めながら有事にはサイバー防衛の現場に駆けつけることが想定されている。

 山田氏は「これはあくまでも自衛隊と防衛省を守るための組織で、私たちが受ける攻撃やインフラなどを守っているわけではない。また、別に内閣サイバーセキュリティセンター(NISC)というものもあるが、ここにも防衛省からの出向者もいるようだが、攻撃を受けた時に対応する人たちがいるわけではない」と話す。

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 元防衛大臣政務官で外務副大臣の佐藤正久参議院議員は「各国のサイバー部隊の本当に人数は分からないし、分かる事自体がよくない。予算の関係で透明性も必要だが、本当は日本のサイバー部隊の人数も分からない方がいい。150人というのは統合幕僚監部の部隊だけで、陸海空の自衛隊それぞれに部隊があるので、全部合わせると430人。それでも数は十分ではない。質と量の充実が必要だ」と指摘。

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 「北朝鮮の場合、"核・ミサイルに負けないくらいの打撃力がある。宝剣だ"として金正恩委員長が推奨している。イスラエルの場合も軍がトップに立って、全てのインフラを守る責任と権限を持っているし、アメリカは軍がトップクラスの技術を持っている人を囲っている。日本の場合はそうなっていない。もちろん優秀な人材を外から雇うのもいいが、一方で情報の保全が重要だ。また、愛国心とか、国を守るという気持ちがなければならないので、人選は非常に難しい」。

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 さらに日本の場合、サイバー攻撃に対して自衛権を発動して対処することが可能なのか、という問題もある。攻撃主体が個人か国家か不明であることや追跡・特定に法的な制約があるかどうかという課題や、憲法21条「通信の秘密は侵してはならない」や不正アクセス禁止法に抵触しないか、という課題もある。

 山田氏は「2007年にエストニアでも激しい攻撃を受けて国家機能がマヒするようなことが起きた。エストニアはNATOに入っていて、ロシアからの攻撃だったが、国家の機能を失うほどの攻撃に集団自衛権を行使するかが議論されたが結論はでなかった。アメリカの場合、激しいサイバー攻撃に対しては集団的自衛権で対応できるというようなことを言っているので、武力攻撃という認識が多少はある。日本の場合は専守防衛なので攻撃を受けてからだが、何が武力攻撃なのか、それが分からなければ、どう反撃していいかも分からない。また、誰が開発し、誰が責任を取るのか。そういうことをはっきりするために、自衛隊のサイバー部隊や内閣サイバーセキュリティセンター辺りが一緒に防衛していかないと。国民を守るのは彼らの仕事なので、そこをできるように縦割りではなくやってもらいたい」と警鐘を鳴らす。

 佐藤氏も「個別的自衛権もあり得るが、何をもって武力攻撃かを認定できなければ、やり返すことができない。それは国会や政府の仕事になるが、非常に難しい。しかしそろそろ議論を収斂させなければならない。守れる技術があれば、攻撃もできるが、日本は法的にもクリアできていないので、そこが脆弱だと言われていて、攻める方も怖がらない」と説明した。

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 元経産官僚の宇佐美典也氏は「課題は明確だ。防衛省の所掌義務が狭すぎて、研究機関や民間のコミュニティとの付き合いもないという。そこは経産省、文科省、総務省の研究開発部門を防衛省に寄せていくようにしなければ、動きが取れないと思う」と話した。(AbemaTV/『AbemaPrime』より)


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