「今度、持ち時間が7分で一手ごとに7秒加算されるっていう超早指しの女流棋戦を始めるんです。見学に来ませんか?」
そんな連絡が来たのは、10月のこと。その頃ちょうど、24人のプロ棋士にインタビューして記事を書くという狂気の仕事を引き受けていた私は、正直に言えばかなり行くか迷った。
朝から関西将棋会館の対局室の隣の部屋に詰めて、対局の様子をモニターで見守り、肝心のインタビューを行えるのは深夜。終電を逃してタクシーで帰宅し、そこから記事を書く……という日々を送っていたからだ。ぶっちゃけ将棋の仕事に飽きつつあった。