プロ麻雀リーグ「大和証券Mリーグ2018」12月7日の2回戦で、TEAM雷電・萩原聖人(連盟)が10月18日の初勝利以来、50日ぶりの2勝目を挙げた。「ここまでトップを取れなかったのは麻雀人生で初めて」と振り返るほどの不調を乗り越え、パブリックビューイング開催日という絶好の機会に“魅せて勝つ”という理想を実現した萩原は、試合後のインタビューで万感の思いを込めて「雷電の麻雀は面白いんです!」と絶叫した。
対局者は起家から赤坂ドリブンズ・村上淳(最高位戦)、TEAM雷電・萩原聖人(連盟)、KONAMI麻雀格闘倶楽部・高宮まり(連盟)、U-NEXT Pirates・石橋伸洋(最高位戦)。各チームのファンがパブリックビューイング会場で見守る中、1回戦から全選手が入れ替わっての仕切り直しとなった。
Mリーグに参戦する21人のプロ雀士の中でも、圧倒的な一般層への知名度を誇るスター選手の萩原。1人の選手という立場を超えてMリーグの広告塔として活動する機会も多く、期待と重圧を背負ったことで自分らしい麻雀を打てない時期が続いていた。ここまでの成績は全21選手中、まさかの最下位。初勝利を掴むまでに半月を要し、さらにそこから50日間に渡ってトップがないという状況に、麻雀ファンやメディアの厳しい声に晒されることもあった。それでも、萩原は雷電のキャッチフレーズである“面白い麻雀”を追求し、故・小島武夫から受け継いだ“魅せて勝つ”という理想を曲げることはなかった。
東場に3回のアガリをまとめ、4万6700点持ちのトップ目で南入した萩原。すんなりと逃げ切れそうなムードだったが、チーム浮上のために是が非でも勝利が欲しいKONAMI麻雀格闘倶楽部の高宮まり(連盟)が南3局1本場、そして2本場とアガり萩原を猛追。そして続く3本場、配牌で9種10牌の手が入ると、萩原は迷うことなく国士無双に直行。連荘で親番を続ける高宮から9巡目にリーチがかかる中、同巡に萩原も追い付いて役満・国士無双をテンパイした。
中継の解説を務めた渋谷ABEMAS・多井隆晴(RMU)が「今後のMリーグを占うような一局になるかもしれません」と興奮する中、萩原の待ち牌の西は山に1枚、石橋の手に2枚。しかしリーチをかけた親の高宮の現物に西があり、オリ気味の石橋から西が打たれる可能性も充分に考えられた。10巡目には、牌をツモる萩原の手が震える場面も。この1局とMリーグにかける思いの大きさを感じさせるも、12巡目に高宮がリーチ・ツモ・イーペーコー・赤の満貫をツモアガリ。結果的に役満を逃してトップ目も奪われた萩原だったが、その闘志はまったく萎えていなかった。
続く南3局4本場、萩原は4巡目にテンパイしたものの三色同順への手変わりを考えてリーチせず。直後の5巡目に狙い通りの5索を引き、三色確定の六万待ちでリーチ。すると先にリーチをかけていた村上がこの六万を放銃し、リーチ・タンヤオ・三色の8000点(+1200点、供託1000点)で萩原が再度僅差のトップ目に浮上した。運命のオーラスでは高宮に5巡目で4・7筒待ちのテンパイが入る中、萩原も7巡目に追いついて2・5・8筒待ちのテンパイ。共にアガリ牌は山に4枚残り、アガった方がトップという五分の競り合いになったが、最後は萩原が村上からタンヤオ・ピンフの2000点をアガって激闘に終止符を打った。
パブリックビューイング会場のTEAM雷電ファンが歓喜に沸き、視聴者からも「すばらしい半荘だった」「今までで一番しびれた試合」「ハギーおめでとう!」「最高に面白かった」と絶賛された、手に汗握る大熱戦。解説の多井は南3局4本場の「1巡待ちリーチからの三色」をポイントに挙げ、「見事でした。三色マスター萩原ですね」と高く評価した。Mリーグでも安定した成績を残している“最速最強”こと多井は、萩原について「運の量がまるで違う。一番調子に乗せてはいけない人。できればこのまま最後まで眠っておいてくれた方がいいくらい」と最大級に警戒しており、この日の復活劇を複雑な思いで見つめていたに違いない。
試合後の勝利者インタビューで「久しぶりですね。歌を忘れたカナリアのようになっていました」とここまでの苦悩を詩的な表現で振り返った萩原。「ファンの皆さんの声、あたたかい言葉も叱咤激励も、本当に本当に感謝しています」と心からの気持ちをファンに伝えると、誰もが待っていた「雷電の麻雀は面白いんです!」という決め台詞を2度に渡って絶叫した。この日の2連勝で3位に浮上したTEAM雷電は、まさに現在のMリーグの台風の目と言っていいだろう。その中心に立つのは、復活を果たした千両役者・萩原聖人しかいない。
【2回戦結果】
1着 TEAM雷電・萩原聖人(連盟)4万7200点/+67.2
2着 KONAMI麻雀格闘倶楽部・高宮まり(連盟)4万3900点/+23.9
3着 U-NEXT Pirates・石橋伸洋(最高位戦)1万4000点/▲26.0
4着 赤坂ドリブンズ・村上淳(最高位戦)▲5100点/▲65.1
※連盟=日本プロ麻雀連盟、最高位戦=最高位戦日本プロ麻雀協会、協会=日本プロ麻雀協会
【12月7日終了時点での成績】
1位 EX風林火山 +293.1(46/80)
2位 赤坂ドリブンズ +133.3(48/80)
3位 TEAM雷電 +82.9(46/80)
4位 渋谷ABEMAS ▲56.3(44/80)
5位 セガサミーフェニックス ▲57.2(42/80)
6位 U-NEXT Pirates ▲96.6(46/80)
7位 KONAMI麻雀格闘倶楽部 ▲299.2(48/80)
◆大和証券Mリーグ2018 7チームが各80試合を行い、上位4チームがプレーオフに進出するリーグ戦。開幕は10月で翌年3月に優勝チームが決定する。優勝賞金は5000万円。ルールは一発・裏ドラあり、赤あり(各種1枚ずつ)。また時間短縮のために、全自動卓による自動配牌が採用される。
(C)AbemaTV