女流棋界の「最速最強」決定戦、女流AbemaTVトーナメントの1回戦(三番勝負)、渡部愛女流王位(25)と貞升南女流初段(32)の対戦が12月9日に放送され、渡部女流王位が今年初タイトルを獲得した底力を発揮し2-0で勝利、準決勝進出を決めた。
 危うくなっても負けないのがタイトルホルダーだ。攻めの渡部、受けの貞升。対照的な棋風の持ち主に戦いは、戦前の予想通り渡部女流王位が仕掛けたが、貞升女流初段の反撃に、渡部女流王位は度々形勢を悪くした。接戦の第1局を制して迎えた後手番の第2局。「決定的に負けにしていた局面があった」というほど追い込まれた。ただ、ここから粘れば挽回できるのが、超早指し棋戦の醍醐味。解説を務めた高見泰地叡王が「これが見たくて仕事を引き受けたんですよ」というほど、数秒単位でめまぐるしく形勢が変わる将棋を興奮気味に語ると、渡部女流王位がほんの一瞬の勝機を見逃さず逆転。「本当に最後まで分からなかったです」と、勝利後にはようやくホッとした様子を見せた。