毎大会、トーナメントがイベントの軸となっているK-1では、12月8日のエディオンアリーナ大阪第1競技場大会でもライト級(62.5kg)のトーナメントが行なわれた。
当初、本命と見られていたのは同級王者の卜部功也。しかし負傷欠場となったため、優勝戦線は一気に混沌とすることに。
その中でポイントだったのがKrushライト級王者のゴンナパー・ウィラサクレックと、同スーパー・ライト級王者である篠原悠人の1回戦だ。この試合に勝ったのは篠原。ムエタイ戦士ゴンナパーの左ミドルに合わせて、狙い通りの左フックを決めてダウンを奪取、さらにもう一度倒して秒殺KOで初戦にして最難関を突破した。
しかし、その篠原も準決勝で林健太にKO負けを喫してしまう。ニコラス・ギャフィーとの1回戦は判定2-1と苦しんだ林。準決勝もゴンナパー戦しか想定していなかったため動揺があったようだ。
実際、試合序盤は篠原のパンチを浴びて劣勢。しかし林はジャブをきっかけに挽回、右のパンチで2度のダウンを奪って逆転勝利を収める。
さらに決勝でも、大沢文也に先制のダウンを奪われてしまった林。しかし2ラウンドにダウンを奪い返すと、3ラウンドの猛攻でフィニッシュ。準決勝に続く逆転KOで世界トーナメントを制してみせた。
篠原、大沢ともに“うまさ”があるタイプだったが、林はそのパンチで強引に風穴をあけたと言っていい。パンチ力には定評がある選手だけに「ツボにハマれば」と思われたが、このトーナメントが見事にハマったわけだ。
「今日頑張らな、いつ頑張んねんという気持ちで、死ぬ気でいきました」と林。これで卜部が持つベルトへの挑戦権を掴んだともいえる。チャンピオンの卜部は同じKRESTに所属する先輩なのだが、お互い対戦に遠慮はなし。試合後には卜部と「じゃあ3月(次回大会)に、って感じでグータッチしました」という。
K-1最高のテクニシャンとして知られる卜部に、林がどう立ち向かうのか。個性がまったく違うからこそ実現すれば楽しみな一戦だ。また林は過去に敗れたゴンナパーとの対戦も希望している。今回の優勝で、林が大きな自信を得たことは間違いない。その自信がさらなる実力アップにつながれば、これからどんどん面白い存在になっていきそうだ。