将棋とは何かと聞かれ「Shogi is my life」と答えるのは、外国人で初の女流棋士となったカロリーナ・ステチェンスカ女流1級(27)だ。日本の漫画で将棋を知り、インターネットで学び、そこでのつながりをきっかけに単身、日本にやってきた。日本語ができるわけでもなく、知り合いがいるわけでもない。そんな彼女が日本で将棋の道を進み続けるには、将棋界で生きる2人の存在が大きかった。
 カロリーナ女流1級が将棋に励んだのは、インターネット対戦サイト「81Dojo」。ここで世界中の人々と指し続ける中で、日本の女流棋士との交流が生まれた。北尾まどか女流二段だ。急に身近になった、8500キロ離れた日本の将棋界。「女流棋士になりたい」と伝えたところ「すぐに日本に来てください」と言われた。とはいえ当時は高校生。いきなり1人で日本に住むわけにもいかない。そこで2週間の「短期将棋留学」を計画した。「むちゃくちゃ楽しかった。暑い夏だったのに、暑さを何も感じなかったです」。渡航費用は、全て北尾女流二段が負担した。