まだ麻雀歴2年ながら「去年は2000半荘ぐらい打ちましたね」という女性タレントがいる。バラエティ番組を中心に活動する、たしろさやかだ。「打っている回数が、麻雀歴2年、3年のレベルじゃないですよね」と笑うが、その牌さばきは圧倒的な対局数に裏付けられるように、見事なものだ。ところが、たしろは始めたのが遅かったせいもあり、麻雀が従来抱える少しダークなイメージがまるでない。より麻雀ファンを増やそうとする発想も、業界人にはないものばかりだ。
現在、たしろが麻雀の活動のメインにしているのが、ネット配信番組「ぴよぴよ!乙女麻雀スクール」だ。「私が31歳(現在は33歳)からどっぷりハマったので、スタートはいうでもいいんだなと」思いつき、初心者向けの番組を始めた。すでに配信は20回以上にもなり、完全な初心者だった共演者たちが、打てるように成長した。「麻雀というゲームの一緒に分かってくれる女性が増えたらいいなと思って。1から覚えるのは大変って思う女子も結構いると思うんですが、そういう壁みたいなものを飛び越えてほしいんです」と、1人また1人と麻雀女子が増えていくことを大歓迎している。
麻雀初心者の女性が、最初に引っかかるのは点数計算だという。「女性は計算が苦手なんですよ。だからアガる楽しみを感じてもらえれば。なんでもかんでもリーチして、アガる。もちろん捨て牌や山を読んで、というのも大切なんですが、ちょっと運ゲーみたいなところもあるので。始めて2年の私が、何十年とやっているプロの方に勝てることもあるのが、おもしろい点でもあると思うんですよね」と、シンプルに真っ直ぐアガリに向かうことで喜びを感じてほしいという。
麻雀と聞くと、少しダークなイメージを語る人も少なくないが、それはある程度、麻雀に触れたことがあるから。たしろのように、本格的に始めた2年前まで、ほとんど情報を含めて麻雀に触れたことがない人にとっては、いいも悪いも、イメージそのものがなかった。「私は新参者だから、昔ながらのイメージをそもそも持ってないし、むしろこうしたらいいのにっていうアイデアは、番組でもいろいろ言っています」。ここで登場したのがタピオカミルクティー案だ。女性に人気のドリンクを雀荘に置いてみてはどうかと知り合いに相談したところ、快く受け入れてくれた。「結構、売れているらしいんですよ。特に男性は並んでまで飲みたくないって人も、雀荘ですぐに飲めるならって、結構頼んでいるらしくて。飲んでみたら意外とおいしいし、腹持ちもいいし、って感じですかね」と満足げ。お茶やコーヒーが定番ドリンクである雀荘で、タピオカミルクティーを出そうと考え、実行した業界関係者が、どれだけいただろうか。
ネット配信番組の実績を買われ、今では対局番組の実況という仕事まで入ってくるようになった。10月から始まったプロ麻雀リーグ「Mリーグ」についても、「松本圭世さんが週4日でリポーターをやっているので、半分くらいやらせてほしいんですけどね(笑)あと、パブリックビューイングには何度も言っていて、すごく楽しかったから、そっちのMCもやってみたいです。会場を盛り上げるとかは、私の得意分野だと思っていますので。会場のフードメニューの案だって考えますよ」と、意欲が溢れ出ていた。
世の中の禁煙傾向を受けて、雀荘もいろいろと様変わりしてきている。禁煙店、分煙店、さらには内装も昭和テイストから、今時のカフェ風な内装や、Mリーグの対局場を模した店舗も出てきた。たしろのような新感覚の“麻雀女子”から出てくるアイデアを取り入れれば、初心者ほど高かった雀荘に入るというハードルはきっと下がる。【小松正明】
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