俳優で雀士といえば、昨年10月に始まったプロ麻雀リーグ「Mリーグ」の選手でもある萩原聖人が有名だが、芸能界内でその雀力の高さが評価されている俳優がいる。ドラマ・舞台・映画と多数出演している滝口幸広だ。「麻雀を知ったのは中学生くらいに漫画で。ちゃんと打ち始めたのは20歳ぐらいから」と言うが、しっかりと身につけた麻雀理論と、鮮やかな牌さばきで、プロ雀士から「プロにならないか」と熱烈オファーを受けるほどだ。「ボードゲームの中では、麻雀が一番よくできていると思います。1週間も空いたら『やってないな』ってなりますね」とまで語る麻雀愛について、詳しく聞いた。
本格的な麻雀歴は10年以上になるが、その年月以上に麻雀に対して真剣に取り組んできたことが、取材時の応対でもすぐわかる。そんな高いレベルの持ち主だ。「麻雀って、最速でアガった方が勝ちじゃないですか。そのためにはある程度、手順というのも決まっている。それなのに、その手順が分かっている同士がやると、そのとおりにやっても最終的にアガリにたどりつかなかったり、回り道をした方がアガれたり。そんなゲームは他にあまりないですよね」と、麻雀の魅力をすらすらと答えた。好きなプロ雀士を、効率重視のデジタル派の代表格・小林剛の名を挙げるあたり、実に理論的に麻雀を捉えている。
最初は独学で強くなった。ネット番組でプロ雀士の対局を見まくり、漫画誌「近代麻雀」の付録DVDもチェックした。「基本の牌効率があって、次のステップがあって。麻雀はすごくおもしろいなと思いました」と、その仕組みに心を動かされた。その後、徐々にプロ雀士の知り合いも増えると、後ろで見たり、対局後に質問したり。「麻雀って、いい時と悪い時が絶対あるじゃないですか。いい時ができるだけ保てるようにしたいんですよね」と、好調を持続するためのものを理論で確立したい、そういうタイプの雀士だ。
Mリーグの試合も、大いに参考にしている。応援している小林だけでなく、最近は他のプロの打ち筋にもたくさんのことを学んだ。改めてプロ雀士への意向を聞くと「プロの方々はすごいですし、興味もあるんですけど、絶対に簡単ではないですからね。対局番組には出たいと思いますけど」と、しばらくプロ入りはなさそうだ。ただ、その端正なルックスと冷静に勝つ様子は、麻雀界が求める女性ファン獲得という意味でも、またとない逸材。今後もオファーは続くことだろう。【小松正明】
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