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(12.25FREEDOMS後楽園。プロデュース興行で王座奪還を果たした葛西はリングサイドを一周し、観客と歓喜を分かち合った) 

 2018年の日本プロレス界MVPとして、竹田誠志を挙げるファンは多い(筆者もその一人だ)。実際、日本インディー大賞ではMVP、ベストバウトのダブル受賞。インディーに限定しなくとも、大日本プロレス(デスマッチヘビー級王座)、プロレスリングFREEDOMS(KING of FREEDOM WORLD王座)の“デスマッチ2冠”を達成したことは超のつく快挙だった。その狂気を帯びた闘いぶりはまさに一級品である。

 ただ、“デスマッチキング”もいつかは敗れる時が来る。大日本では11月に高橋匡哉が戴冠。FREEDOMSでは恒例のクリスマス決戦(12月25日、後楽園ホール)で“デスマッチのカリスマ”葛西純が死闘の末に竹田を下した。

 竹田はすでに葛西と“同格”と言える存在だからこそ、葛西ファンの声援にも熱がこもったこの一戦。44歳、キャリア20年でなお刺激を求め続けているという葛西は、その名も「スティミュレイション」(刺激)という新技を凶器を敷き詰めたボード上で炸裂させ、竹田からベルトを奪った。

 「業界20年、気づけばどこの控室でも後輩ばかり」と葛西。竹田の活躍に自信をなくしていた部分もあったという。だが「デスマッチが好きだからやめられなかった」。さらにこの戴冠から「まだまだ進化する」とも。1年後のクリスマスに竹田との再戦をアピールした葛西は、大日本の同世代、アブドーラ・小林、伊東竜二、“黒天使”沼澤邪鬼にも「老け込んでんじゃねえ!」と檄を飛ばした。もちろん、ベテランの葛西がギリギリのところで闘っているのは間違いない。年が明けると古傷であるヒザの故障で戦線離脱。復帰後の闘いがどうなるかも気になるところだ。

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(大日本では伊東が王座挑戦。マイク合戦では貫禄の違いを見せつけた)

 一方、大日本では高橋が1.2後楽園で塚本拓海相手に防衛成功。1月14日の後楽園大会では伊藤の挑戦を受けることになった。メイン後のリングに上がった伊東はさっそく高橋を挑発。「チャンピオンなんだから堂々としてろ、伊東竜二なんて大したことないって言ってみろ」と誘っておいて「伊東竜二をぶっ潰す!」と言われると「さんをつけろよデコ助野郎!」。マイクでの前哨戦は伊東の圧勝となった。

 この日の試合を見ても、試合運びにせよ狂いっぷりにせよ挑戦者・塚本が優勢。高橋は発展途上の王者で、まだ観客の心を完全には掴めていないのが現状だ。だからこそ、ベテランである伊東を超えることが重要になってくる。高橋vs伊東の試合形式は「観客持ち込み・画鋲デスマッチ」。団体が用意したものだけでなく観客から募集した画鋲も使っての、史上最大の画鋲デスマッチだ。

 葛西に続き、今年デビュー20周年の伊東がベテラン復権を果たすか。あるいはデスマッチ第5世代の高橋が飛躍するか。竹田の逆襲、さらには木高イサミもアゴの骨折から復帰も今後に影響してくるだろう。今年のデスマッチ戦線は先が読めない状況からのスタート。それだけに注目しがいもある。

文・橋本宗洋

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