一昔前まで「麻雀」と聞けば、男性のイメージ、さらには少しダークなイメージを持つ人も多く、自分が趣味としていることを語りたがらない感もあったが、イメージが変わってきた今や、芸能界では「麻雀番組への出演枠」を確保しようという競争が年々激化している。男性芸能人では、主にお笑い芸人がその役割を果たし、女性では男性受けを考えてか、グラビアアイドルが多かったが、人気アイドルグループのメンバーが、麻雀の冠番組を持つまでにもなった。この激しい競争の中、タレント小田あさ美は「焦るところもあるんですが、麻雀が大好きという気持ちは最近始めた人には負けないです!」と、胸を張った。
かつては暗がりの部屋で、たばこの煙が漂う中、強面の男性が険しい顔をして打つ、そんなイメージがあった麻雀だが、今テレビで流れるものは、まるでイメージが違う。明るいスタジオで、もちろん喫煙もなし。若い女性芸能人も多数出演し、華やかな雰囲気すらある。その分、これまで麻雀関連の仕事を敬遠していた人々が、ここぞというタイミングで参入してきている。小田は「麻雀をする人口が増えることは率直にうれしいことなんですけど、アイドルの方とかでお仕事を増やすために麻雀を覚えるという方が増えてきて。正直焦ってはいますね」と、素直な心境を明かした。
麻雀番組といっても、いろいろとある。真剣勝負をする対局番組から、罰ゲームなどがあるバラエティ要素が強い対局番組、出演者が学んでいくような初心者向けの番組。これまで若い女性タレントは、初心者向けがフィールドだったが、ここの競争が激しくなったせいか、今度は「週○日で打ちます」といった、いわゆる“ガチ勢”も増えてきた。小田もその1人だ。「私は魅力を伝えるというより、プレイヤーとして打つことに専念していきたいです。麻雀を覚えてから3年ほどですが、この3年間は麻雀のために捧げてきたと言っても過言ではないです」と、思いは非常に強い。人気アイドルグループのメンバーと同じようでは、知名度や勢いで劣ることは自覚している。そうであれば、プロ雀士クラスとまではいかないまでも、女性芸能人としてはトップクラスの雀力を見つけたい。そして対局番組で勝ちたい。小田はそこを目指している。
単に仕事ということだけでなく、人見知りの小田は麻雀のおかげで、コミュニケーションも取れるようになったという。「普段あんまり話さない人とも交流ができるのがいいところです。男女、年齢問わず、いろんな方と同卓したことで、人生の経験にはなると思うし、コミュニケーション能力も上がったと思うんです」と大いに感謝している。
臨んでいるのは、今はまだ数が少ない芸能人同士による麻雀対局番組。ここで視聴者を楽しませるパフォーマンスを見せることが、今の生きる道だと定めている。「今年は少しでも多く、番組に出たいですね」。アイドル、グラドル、女優、女子アナ…。それぞれが女の意地と誇りをかけて戦う姿は、これまでにはない感動を呼ぶはずだ。【小松正明】
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