13日から始まる大相撲初場所を前に、昨年11月に地元・福岡で行われた九州場所で二桁の10勝を挙げた琴奨菊(佐渡ヶ嶽)がインタビューに応じ、34歳で辿り着いたベテランならではの新境地で臨む初場所について意気込みを語った。
昨年11月の九州場所において、22歳3カ月という史上6番目のスピードで幕内最高優勝を果たした貴景勝(千賀ノ浦)に代表されるように、若手の台頭が目立つ昨今。その現状について「ひとつ考え方を変えた」と切り出した琴奨菊は、「今までは若手に負けないように気合を、さらに肩の力を入れて土俵に立っていたが、もうある程度ベテランの域に達した。九州場所は地元ということもあり声援を受けることもわかっていたので、肩の力を抜いて声援に応えられる相撲を取ろうと思った」と振り返った。
「考えを変える」決断に至った経緯には、ある取組があったという。それは昨年の九月場所の千秋楽、7勝7敗の五分で迎えた錦木(伊勢ノ海)との一番だ。
「肩に力が入り過ぎて負けた。勝ちたいという欲は当然あるし、勝てればいいのだが、勝つことと力むことは同じではないと感じた」と、考え方を変えるきっかけについて触れた琴奨菊は、その結果として得た“新たな手応え”について次のように続けた。
「カタさよりも、それ(若手の勢い)を包み込むような気持で土俵に上がって成績が出た。それに若さに対抗しようとすると、どうしても無理が出てしまう。色々な面で“落ち着いていこう”と思ったことで、15日間でアベレージを発揮できた。相撲に流れが出て、体調も良くなったので、今後はそういう戦い方をやっていきたい。九州場所の取組はすべてよかった。負けた相撲も敗因は分かっている。もっと自分の良さが出せれば、相手が吸い付くような、しっかり密着できるような形になる。そこは自分の気持ちの部分でもあるので、しっかり出していきたい」
同世代で仲が良く、先場所13場所ぶりの関取復帰で11勝を挙げた豊ノ島(時津風)とは巡業などでよく言葉を交わすというが、二人でよく「今が成長のとき」と励まし合うことがある。「限界を作るのは体だが、気持ちは突き抜けていける。ただし、最終的な限界を作るのは気持ち。そういう考え方も豊ノ島とは似ている」と明かした琴奨菊は笑顔で「今年は年男。いい年にできるように頑張りたい」と力強く語った。
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