今年初場所が開幕した時点では十両以上の休場者はゼロだったが、十両の隆の勝が右膝前十字靭帯損傷で三日目から休場したのを皮切りに、上位陣でも四日目に横綱稀勢の里が引退を表明すると翌五日目は大関栃ノ心が場所前から痛めていた右太ももの肉離れで戦線離脱。さらにその翌日からは横綱鶴竜までもが右足首の故障で2場所連続休場に追い込まれた。
負の流れはこれで終わらず、初日から5連勝と横綱白鵬とともに優勝候補と期待されていた小結御嶽海が六日目、小結妙義龍に敗れた際に左足を負傷して土俵から姿を消した(十一日目から再出場)。
ケガは連鎖するのであろうか。十日目の土俵は元幕内で幕下の宇良が右膝の前十字靭帯を断裂する重傷に見舞われた。幕内時代にも同箇所を断裂。腱の再建手術を行ったため、6場所連続休場となったが、復帰3場所目にして再手術の可能性が出てきた。いずれにしても再び長期離脱は避けられない状況だ。
この日は九日目から再出場の隆の勝が再び負傷。幕内でも絶好調だった千代の国が左膝を痛め、琴勇輝も右足のケガでいずれも翌日から休場を余儀なくされた。阿炎も豊山に押し出された際、膝から崩れ落ち、一瞬ヒヤッとさせられた。
場所前の計量で幕内力士の平均体重は166.2キロと過去最高をマーク。体重増加とケガの因果関係は一概には言えないが、現実的には平均体重の増加とともにケガも増えている傾向にはある。
テレビ中継でも解説者の元横綱北の富士氏や舞の海氏はしばしば、力士の体重過多を嘆いている。ファンもパワー頼みの大味勝負よりも技と技の白熱した攻防を望んでいるのではないだろうか。ちなみに歴代最多の優勝41回を誇る白鵬の体重は、幕内平均を下回る158キロだ。昨今の現状は警笛としてとらえたいところだ。
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