将棋の佐藤天彦名人(31)への挑戦権を争う順位戦A級が、いよいよ佳境を迎えている。残すところ明日1月31日の8回戦、3月1日に行われる9回戦の2戦を残すのみ。昨期は史上最多6人によるプレーオフの末、羽生善治九段(48=当時竜王)が挑戦権を獲得したが、今期は羽生九段、広瀬章人竜王(32)、豊島将之二冠(28)の3人に絞られている。
 羽生九段は昨年12月、タイトル通算100期を目前にして、広瀬章人竜王に敗れ、大記録の達成はならず、一転27年ぶりの無冠となった。タイトル復帰、さらにタイトル100期を達成するために、最も近い距離にいるのがこの順位戦だ。その羽生九段から奪取し、初の竜王となった広瀬竜王は、ここまで今年度の対局数(52局)、勝利数(39勝)で全棋士トップの成績を残しており、初の名人挑戦を目指している。豊島二冠は、確固たる実力を持ちつつタイトルに縁がない“無冠の帝王”の時期が続いていたが昨年、羽生九段から棋聖位を奪取すると、続けて王位も獲得。現在、唯一の複数冠保持者になっている。豊島二冠も名人挑戦となれば、初だ。