2000人以上いると言われるプロ雀士の中で、わずか21人しかいないMリーガー。この中で勝利を得るには、麻雀ファンが何も違和感なく切ってしまいそうな牌でも手元に置き、逆転のアガリへとつなげることができる。2月3日に放送された麻雀ニュース番組「熱闘!Mリーグ」では、U-NEXT Pirates・朝倉康心(最高位戦)の打牌選択が紹介され、番組MCを務める爆笑問題・田中裕二をはじめ、出演者たちが「激ウマ!」と声をそろえた。
同番組の名物コーナーで、インスタントジョンソン・じゃいがMリーガーのすごさを伝える「じゃいの眼」において、今回は朝倉の「発」切りが選ばれた。場面は1月31日に行われた2回戦のオーラス。2着だった朝倉は子で、トップを走る渋谷ABEMAS多井隆晴(RMU)を6200点差で追いかけていた。5200点(子1300点・親2600点)のツモアガリか、満貫8000点のツモまたは出アガリで逆転可能な状況で、朝倉の手牌はソウズのホンイツ気配。ドラの9索も1枚あったことから、2巡目で中が対子になったことをきっかけに、中・ホンイツ・ドラの満貫が本線となった。
3巡目に1、2索と持った状態から3索をチーして、さらにホンイツに前進。5巡目にはもう1枚ドラを引いて、ホンイツ・ドラ2の満貫も見えてきた。ところが6巡目、朝倉の手元に2巡目に切っていた2筒が入ると、これをツモ切りすることなく、役牌候補だった発切りに。これには出演者たちが次々に「なんで?」と声を挙げた。
他の3人の捨て牌状況を確認してみると、赤坂ドリブンズ・村上淳(最高位戦)からはソウズの切り出しが早く、朝倉が1枚持っていた2索の周りの有効牌を引き入れる可能性は薄いと判断できる。また、朝倉の手牌はドラの9索、東、中と対子が3つあった。ここでさらに発を引き入れて対子にしたところで、トップクラスの雀士が揃うMリーグでは、ここから1つ、2つとポンできるほど甘くはない。さらにホンイツ気配を漂わせたこともあり、この2筒を持っていれば1筒、3筒を引き入れ、チャンタに手変わりした際、アガリやすさが格段にアップすると判断した。
誰もがうなる2筒残し、発切りを選択した結果、中を暗刻にした朝倉は、さらにイメージどおり1筒を引き入れ、東をポンして3筒待ちのテンパイ。その後、リーチしたTEAM雷電・黒沢咲(連盟)からその3筒がこぼれ、見事に中・チャンタ・ドラ2の8000点で逆転トップを勝ち取った。
序盤を見る限り多くのファンがホンイツだと判断し、さらには1度切った2筒など、ノータイムで切り飛ばしているところ。そこを確実にアガリに結びつける至高の選択に、田中も「これは素晴らしいですね」と声を張っていた。
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