共同通信によれば、これは沖縄県石垣市の在日韓国人の男性に対して、2016年に「2ちゃんねる」などに書きこまれた内容だ。この書き込みを受けて男性は刑事告訴し、先月、書き込みをした男2人が名誉棄損罪で略式起訴され、それぞれ罰金10万円の略式命令を出された。
ネット上でのヘイト投稿に対して、名誉棄損罪が適用されたのは全国で初めてだという。ネット上での中傷行為に詳しい清水陽平弁護士は「ヘイトスピーチがあったから、それだけの理由で何か罪に問うのは難しかった。きちんと処罰していく姿勢を見せたのはいいことだと思う」と話す。
ヘイトスピーチに関しては2016年、ヘイトスピーチを根絶するための法案、通称「ヘイトスピーチ対策法」が施行された。憲法が保障する「表現の自由」を侵害する懸念から罰則の規定は盛り込まれなかったが、国や自治体に対してヘイトスピーチの解消に向けた対策や教育を進めるように求めていた。
その後、京都では2018年4月、朝鮮学校跡地周辺で拡声器を使ってヘイトスピーチをし、動画サイトに投稿した男が名誉棄損罪で在宅起訴された。東京都でも、ヘイトスピーチなどを抑止するための条例が去年に成立し、今年4月から全面施行される予定となっている。
ヘイトスピーチに限らず、今後のネット上での書き込みについて清水弁護士は「昔はネットに書かれているものはラクガキと同じだから気にするなとか、見なければいいという対応だった。最近は刑事告訴すると受理してくれ、捜査もして、場合によっては起訴してくれるということも以前より増えた。厳罰化というべきかわからないが、警察の意識も変わった気がする」としている。
言論の自由と規制をめぐる議論について、『WIRED』日本版編集長の松島倫明氏は次のように話す。
「今回は日本のサービスだったが、例えばFacebookやTwitterのような世界的なプラットフォームでも様々なヘイトスピーチが出されている。彼らはAIを使ったり24時間人力で削除したりと規制を進めているが、それがヘイトスピーチかどうかを誰が決めるのか。それは表現の自由を侵害しているのではないかということが、世界で問題になっている」
では、海外で生まれたプラットフォームのルールを日本にどう当てはめればいいのか。松島氏は「ヘイトスピーチをしただけでアウトなのか、何か実害を与えた時に初めてアウトになるのか、ルールも国によって違っている。ヘイトスピーチや人種差別は撲滅しなければいけないが、あるサービスがどういう判断をしていくのか。日本の中で言論空間をつくるのであれば、ルールも作っていく必要があるのではないかと思っている」と意見。
また、日本では匿名文化が育ってきたとして、「いいところと悪いところがあると思うが、ネットでは匿名でもかなりの拡散効果を持ってしまう。そういったメディアの特性をこの問題にどうフィットさせていくのかが問われている」と述べた。
(AbemaTV/『けやきヒルズ』より)







