千葉県野田市の栗原心愛さんが亡くなった事件で14日、父親の勇一郎容疑者が傷害容疑で再逮捕された。心愛さんは胸骨を骨折していたほか、顔に打撲の痕があったことがわかっている。その後の関係者への取材では、母親のなぎさ容疑者が「娘がけがをしても診療には連れて行かなかった」と話していることもわかり、警察は虐待の発覚を恐れて心愛さんを病院に連れて行かなかったとみて捜査を進めている。
事件を受けて根本厚生労働大臣は、子どもの教育や福祉に関わる厚労省と文部科学省が再発防止に向けた合同作業チームを立ち上げると明らかにした。15日に初会合を開き、今後事件の検証や関係機関の連携のあり方などを議論。5月末をめどに中間とりまとめをする方針だ。
深刻度を増している児童虐待問題。2017年度の虐待通報件数は全国で13万件以上にのぼり、毎年増加し続けている。そんななか、東京都は全国で初めて保護者による体罰や暴言を禁止する条例案を20日に議会に提出する。きっかけとなったのは去年3月、目黒区で当時5歳の船戸結愛ちゃんが虐待死した事件だ。結愛ちゃんは両親から十分な食事を与えられず、栄養失調が原因とみられる肺炎で亡くなり、ノートには「もうおねがい 許してください おねがいします」と書かれていた。
今回の条例の特徴は、保護者による体罰や暴言まで禁止する内容を盛り込んだ全国でも初めてのケースだということ。条例を制定しようとした理由について、都の担当者は「虐待というのは、最初にどの親も子育てに悩むということがある。例えば少し軽くたたくのが、だんだんエスカレートして実際には虐待行為に至ってしまう。でも早期に発見できることによって必要な支援を入れることができるので、子どもへの虐待が深刻になる前に関わることができる」と話す。
ただ、この条例には違反した際の罰則はなく、どこからが体罰や暴言になるのかの線引きはない。明確に決めてしまうと「記載されていないことはやっていい」と捉えられる可能性があるためだ。なお、2017年にセーブ・ザ・チルドレン・ジャパンが成人2万人に行った「体罰についての意識調査」によると、体罰容認派(積極的にすべきである、必要に応じてすべきである、他に手段がないと思った時のみすべきであるの合計)は57%だったという。
なくならない児童虐待について、当事者から相談を受けることがあるというアーサー・ホーランド牧師は次のように話す。
「夫が子どもを虐待したり、自分もDV被害を受けているという妻が僕のところに相談に来たりする。行政に相談したり、ある時には夫と離れたほうがいいということをアドバイスしたりするが、夫に暴力を振るわれて脳しんとうを起こした妻が、病院で夫の名前を出さないということがあった。被害を受けているのに加害者を守ってしまうケースは、複雑で難しい」
一方、東京都の取り組みによって「一人ひとりの意識が変わる必要がある」とし、「心が変われば態度が変わる、態度が変われば行動が変わる、行動が変われば習慣が変わる、習慣が変われば人格が変わる、人格が変われば運命が変わる、運命が変われば人生が変わる。ヒンドゥー教の中にそういう教えがある。虐待をなくすためには心が変わっていくしかなくて、そのためにはこの条例のように外からインプットさせることも必要」との考えを述べた。
(AbemaTV/『けやきヒルズ』より)









