２月16日、タイ・バンコクで開催された総合格闘技「ONEチャンピオンシップ」の大会「ONE: CLASH OF LEGENDS」。メインカードには２人の日本人バンタム級選手が登場したが、両者の明暗はくっきりと別れる結末となった。
約１年ぶりの試合となった竹中大地はマーク・フェアテックス・アベラード（ニュージーランド）を終始圧倒するも、右ヒジによる攻撃を受けて流血。レフェリーストップで想定外の敗退となった。一方、上久保周哉もキム・デフォン（韓国）戦で額をカットしたものの、こちらはテイクダウンと手数で判定勝ちを収めた。２度の試合キャンセルもあり、約１年ぶりのONE参戦となった竹中は、この試合でもバッドラックを払拭することができなかった。
太平洋地域のMMA興行PXCを経て、ONEのトライアルリーグを勝ち抜いたアベラードと対戦した竹中は、１Ｒからミドル、膝、ローと積極的に攻め続ける。早々とテイクダウンに成功、バックを取り左右を入れ替えた竹中はリアネイキドチョークを試みるも、アベラードが必死のディフェンスでラウンドを乗り切った。竹中優勢の試合展開が続いた３Ｒ、早い時点でテイクダウン、上になる場面で両者攻め手を欠いた膠着状態が続くが、アベラードが下からの右肘で応戦し竹中が左目尻をカット。大量の出血が見られるため試合は中断され、ドクターチェックの結果、レフェリーストップでアベラードに凱歌があがった。
あまりにも不運な敗戦、竹中優勢というより９割型主導権を握っていたにも関わらず、上になった際の打撃の積極性と質の差がこの結果を招いたともいえる。序盤から上になられ防戦一方のアベラードだが、隙間を掻い潜るように強烈な肘を打ち込むシーンは１Ｒから何度もみられた。竹中も組合いやテイクダウンの流れでコツコツした打撃で対応していたが、破壊力の面ではアベラードが強烈な一発を常に狙っていたように見えた。仮に“不運のカット”が無かったとしても、“ダウン性のある一発”で判定結果に影響を及ぼすONEチャンピオンシップ。その難しさが改めて浮き彫りになった試合ともいえる。
一方、上久保周哉に関しても、竹中戦と似たような流血の中での展開となった。１Ｒの序盤でテイクダウンを奪いながらも、バックポジションでキムの強烈なひじ２発を浴びて出血。しかし上久保は粘り強く片足を取り、バックの場面でも積極的にパンチを打ち込み続けるなど打撃面でポイントを稼いでいった。長い組み合いからテイクダウンの場面でキムがやや失速。反撃がなかったことも、上久保優勢の流れを作った一因だ。スペースを見つけて止まることなくパンチを繰り出し、相手のスタミナを削り続けたことも評価できるだろう。
２Ｒ、３Ｒともにタックルからパウンドという構図は続き、ほぼ見せ場のなかったキムに対し、膝、拳、締め技と可能な限りの攻撃を試みた上久保。その差は歴然だった。１Ｒのカットによる流血というアクシデントを物ともせず、ONE３連勝となった上久保。次戦の対戦相手と結果次第では、バンタム級タイトル挑戦も現実味を帯びてくる。
ONEチャンピオンシップといえば、３ラウンドの総体的評価が特徴としてある。これはメインストリームのMMAルールに比べて馴染みの薄いルールだが、より相手をKOに追い込んだかという打撃面での評価が高いのも特徴だ。理想はKOや一本勝ち、判定となってもそれ相応の打撃が優先され、テイクダウンなどのポイントはそれほど高くないという流れは、１～２年のONEの大会で徐々に醸成されてきたように思われる。
これまでのONEの大会でも、テイクダウンの技術や、マウントを取ってからのキープに秀でた日本人選手が、試合で主導権を握る展開にもかかわらず試合を落としたケースは少なくない。重ねて今回の竹中の敗戦は不運と言わざるを得ないが、３月の日本大会に向けて日本人選手の注目度が高まっている今だからこそ、この独特の打撃とその効果が重んじられるローカル・ルール攻略が、各階級のタイトル戦線へ食い込むためには不可欠といえるだろう。
(C)AbemaTV
![ONE Championship 2019 - 2.16 バンコク大会 - メイン 第9試合 バンタム級 竹中大地vsマーク・フェアテックス・アベラード] | 動画視聴は【Abemaビデオ(Abema](https://times-abema.ismcdn.jp/mwimgs/6/f/200w/img_6f1697c9dc646a6391f29c0f924c4fb784915.jpg)
