24日、沖縄県名護市辺野古の新基地建設の埋め立ての賛否を問う県民投票が行われ、「埋め立て反対」が全体の7割以上に達した。一方、政府は辺野古の新基地建設を推進させる考えを示している。
玉城デニー知事はきょう未明、「私は知事に就任以来、辺野古に基地は作らせない、普天間飛行場の県外・国外移設に全力を尽くしてきた。県民投票での結果を受け、辺野古新基地建設の阻止に全身全霊を捧げていくことを誓うものである」と改めて明言した。
そこには、沖縄県民が安倍政権に突きつけた“民意”がある。今回の県民投票は「賛成」「反対」「どちらでもない」の3択。最終投票率は52.48%と投票資格のある人の半数以上が票を投じるなか、結果は「埋め立て反対」が43万票超と全体の7割以上に達した。
玉城知事は、条例に定められたとおり投票結果を安倍総理とトランプ大統領に通知する予定だが、投票結果に法的拘束力はない。そのため、政府は以前から投票結果に関わらず辺野古への新基地建設を推進させる考えを示している。
安倍総理は25日、投票結果を真摯に受け止めるとしたうえで「世界で最も危険と言われる普天間基地が固定化され、危険なまま置き去りにされることは絶対に避けなければならない。もうこれ以上先送りすることはできないと思う」と工事の継続に理解を求めた。安倍総理と玉城知事の会談は、早ければ3月1日にも実現する見通しだ。
■「投票せず」55万人にみえる3つの“民意”
今回の県民投票の結果を改めて見てみると、投票資格者総数は115万3591人で、投票率は52.48%。「賛成」は11万4933票(9.96%)で、「反対」は43万4273票(37.65%)、「どちらでもない」は5万2682票(4.57%)、投票せず(無効票など含む)は55万1703票(47.82%)だった。
臨床心理士で明星大学准教授の藤井靖氏は、投票しなかった人が5割弱いることに注目し次のように指摘する。
「この問題に関係した国民投票や知事選、市民投票などがこれまでにもあったが、沖縄ではそうしたことをおよそ20年繰り返してきている。その繰り返してきた歴史が『投票しない』という行動に結びついている部分もあるのではないかと思う。古い繋がりの沖縄在住の方に話を聞くと、『反対運動をしてきたけど結局20年経って何も残っていない。私たちの行動の結果が形になっていない』と。心理学では『学習性無力感』というが、やっても仕方がないという考えになってしまう」
加えて投票に行かない理由はもう2つ推測されるとし、「普天間基地があることによって危険にさらされている方がいる一方、生活にあまり関わりがなく身近に感じられない方もいる」「根本的なところで、何を判断基準に決めたらいいのかわからない、反対する気持ちがあってもどうすればいいのか答えが出ない人も多いのではないか」との考えを述べた。
今回は普天間基地の辺野古移設に関する県民投票で、民意がよりはっきりしたとの見方もある。その点については「これまでの県民投票や知事選も、実質的にこの問題が争点だったことは明らかだと思う。沖縄の民意として、一貫して反対が示し続けられてきたということだと思う」とした。
(AbemaTV/『けやきヒルズ』より)
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