3月10日、昨年に続きK-1のさいたまスーパーアリーナ・メインアリーナ大会が開催される。K-1にとって年間最大のイベントだ。この大会でメインイベントに登場するのが、現在のK-1の“顔”である武尊。今回は「日本vs世界・7対7マッチ」の大将としてメインイベントに出場する。
その対戦相手は現役のムエタイ王者、ラジャダムナンスタジアムのベルトを持つヨーキッサダー・ユッタチョンブリー。“立ち技最強”とも言われるムエタイのチャンピオンは、武尊のキャリアにおいて最強の敵と言っていいだろう。3月1日に来日、日本で最終調整をしているヨーキッサダーは自信満々。「ムエタイの強さを見せる」、「武尊の弱点は見つけている」と言う。といってナメてかかっているわけではなく、しっかりと研究し、対策を立てているというから厄介だ。少なくともこの選手に、油断という“穴”はない。
一方、迎え撃つ武尊も、ここ数年なかったほどモチベーションが高いようだ。新生K-1旗揚げ戦から全力で突っ走り、スターになったからこそ狙われる立場でもあった武尊。そんな中で、自分に新たな挑戦を課し続けた結果が、前人未到の3階級制覇だった。しかし今回は相手が強大なだけに、純粋に思い切って暴れることもできる。それは“武尊らしい武尊”が見せられるということでもある。
対ムエタイという“異種格闘技戦”的な要素があるのも重要だ。常に「K-1最強、最高」を掲げ、K-1を背負い、盛り上げるために闘ってきたのが武尊。ヨーキッサダー戦は最も燃えるシチュエーションだろう。しかも、ヨーキッサダーはこれまで一度もダウンを喫したことがないというだけに「そこがモチベーションになっている部分もあります」と武尊。人生初のダウン、さらにはKOを体験させてやろうというわけだ。
「いなすのがうまい」と相手を分析しており、武尊の攻撃がスカされてしまう可能性もあるが、そうした“巧さ”も対策済みだろう。恒例になっているアメリカでの出稽古でも、ムエタイ対策のヒントを得たという。キックボクサーの中には、ムエタイを学ぶためにタイで修行する選手も多い。かつての武尊もタイのジムで練習した経験がある。ただ今回のテーマはムエタイを倒すこと。そのためにアメリカで、ムエタイとは違うスタイルを取り入れてきたのだ。
「僕が負けたらK-1がムエタイより下に見られてしまう」と語る武尊。そのプレッシャーもパワーになるという。狙うのはKOであり、「K-1最高!」という言葉で大会を締めること。最強の敵を迎えて、武尊もまた最強の状態での闘いを見せてくれそうだ。
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