プロ雀士ともなれば、たとえ手牌がバラバラであっても、鳴きを駆使して周囲の動きを止めることができる。それが相手から大物手を狙っているように見えれば、なおさらだ。プロ麻雀リーグ「Mリーグ」の21選手は、プロ雀士の中でもトップレベルの実力を持つ者が揃っているが、中でも「魔法の鳴き」と呼ばれる仕掛けを駆使する赤坂ドリブンズ・園田賢(最高位戦)の、鳴きによるブラフ(はったり、こけおどしの意)は、手強いライバルたちの手を見事に止めたものだった。
3月17日に放送された麻雀ニュース番組「熱闘!Mリーグ」で、園田の鳴きによるブラフのすごさが紹介された。インスタントジョンソン・じゃいによる打牌解説「じゃいの眼」で、1月15日1回戦、東3局の一部始終が流されると、そこには園田のすごさが詰まっていた。
配牌の時点で、園田の手元には対子が4つ(1索、9索、四万、西)。七対子の2シャンテンという考え方もできるが、1巡目でいきなり9索をポンした。さらに2巡目、今度は西をポン。対々和(トイトイ)を狙うのであれば四万を持ち続けるところだが、ここであえて四万を2枚切り飛ばし、今度は1索をポン。1索、9索、西をポンしたことで、周囲から見れば対々和だけでなく、混一色(ホンイツ)、混老頭(ホンロウトウ)まで警戒することとなり、あっという間に卓に緊張が走った。これには、じゃいも「周りからしたら、とんでもなく恐ろしい」と、心境を代弁した。
この状況に“してやったり”だったのが園田だ。3つも晒しておきながら、手元にある4枚はドラの7筒に、2・4・7索。一応、3索を引けば単騎待ち、7筒か7索を引けばカン3索のテンパイではあるが、ほとんどバラバラといってもいい。それでも他の3人は、混一色に絡むソウズ・字牌はもちろんのこと、混老頭に絡む1・9牌も切れない。これらを抱えながら、なんとかこの一局をしのぐしかないという、非常に不自由な戦いとなっていたことで、既に園田の術中にはまっていたというわけだ。
その後、園田はまだテンパイしていないのに加カン。新ドラが東になったことで、最大で三倍満まで見える展開となり、いよいよ対戦者は立ち向かうことができなくなった。あとは園田の一人旅。最終的にはハイテイでツモアガり、混一色・対々和・西・ハイテイの1万2000点をものにするという、最高の形となった。
配牌から最も近いと思われた七対子を目指していれば、自身がアガるどころか、他者にアガられていた可能性も十分にあった一局は、まさにトッププロの真骨頂といえるものだった。
◆Mリーグ 7チームが各80試合を行い、上位4チームがファイナルシリーズに進出するリーグ戦。開幕は2018年10月、2019年3月に優勝チームが決定する。優勝賞金は5000万円。ルールは一発・裏ドラあり、赤あり(各種1枚ずつ)。また時間短縮のために、全自動卓による自動配牌が採用される。
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