「ふふふ、ゴミは歩かないんですけどね……」
 来日8年、台湾出身女子のトンちゃんが思わず失笑した。彼女が見ていたのは、日本の街中でよく見かける外国語案内。その案内板には、日本語表記と英語、中国語、さらにその行為を表現するイラストが用いられていた。その中に、トンちゃんが目を疑う中国語表記の案内板があった。彼女が指摘したのは「ゴミはお持ち帰りください」の案内板についてである。
 「これでは『ごみは歩いてください』になってしまう。ゴミは歩かないんですけどね」という冒頭の失笑とツッコミの原因がそれだ。トンちゃんのツッコミはまだ続く。「お手洗いはございません」の案内を見るなり、「これでは、お手洗いはこの店にはいません」になってしまうと指摘すると、少し間を置いて「オバケみたいなやつ書いていますね」と半ば呆れ気味だ。