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(大谷に気持ちでぶつかり「プロレスの教科書」を授かった今成。おそらく、今のマット界で最も“激情型”のレスラーだろう)

 昨年から、ガンバレ☆プロレス(ガンプロ)の戦力強化が著しい。レギュラー参戦していた技巧派・翔太が5月に入団を果たすと、夏にはDNA解散から岩崎孝樹が加わり、さらにDDTから石井慧介がレンタル移籍してきた。石井と岩崎はプロレスリング・ノアでジュニアタッグ王座に挑戦するなど、これまでのガンプロとは一味違う闘いを展開。石井は全日本プロレス世界ジュニア、アジアタッグのベルトを巻いたこともある。

 ガンプロはDDTグループの極小団体だが、この2人の加入で風景が変わってきた。さらに今年、元修斗世界チャンピオンでMMAジムの会長でもある勝村周一朗も入団表明している。大家健が一人で旗揚げし、常に中心で引っ張ってきたガンプロ。しかし現在では何人もの選手が「俺がガンプロを引っ張る、盛り上げる」と主張している。そんな流れを作ったのが、“今成革命”を掲げて大家に反旗を翻した今成夢人だ。

 “大家の右腕”的ポジションだった今成だが、昨年夏のトーナメントで優勝、ガンプロの中心で活躍するようになっている。メイン後にマイクを握り、大会を締めることも多い。ガンプロのスローガンは「プロレスをメジャースポーツに」。今成にも団体を引っ張り、盛り上げようという思いは強い。しかし、それと同じくらい強いのが個人的なモチベーションだ。

 DDTの映像スタッフでもあり、昼夜を問わないハードワークの中で練習や試合に臨んでいること。大学卒業後にテレビ局に就職したものの、挫折した経験。プロレスラーとしてはどうしても“副業”扱いで一段低く見られがちなこと。そうしたコンプレックスやルサンチマン、それでも溢れてくるプロレスへの思いを(涙と鼻水とヨダレとともに)ぶちまけるのが今成のレスラー人生だ。

 2月21日の新木場大会ではZERO1・大谷晋二郎とシングルマッチ。真っ向勝負を挑んで玉砕し「プロレスの教科書165ページ、強くても弱くてもいい! カッコよくてもカッコ悪くてもいい! プロレスラーであるならば試合で自分の生き様を見せるんだ!」という言葉を叩き込まれた。

 大谷戦と「プロレスの教科書」伝授は、今成にとってレスラーとしての通過儀礼だったと言っていい。この日、今成は1月に敗れた藤田ミノルにリマッチを要求。3月23日の板橋大会で対戦することになった。ガンプロvsBASARA戦闘民族対抗戦の1試合なのだが、今成のキャリアの中では“藤田ミノルを超えられるか”自体が大きなテーマになってくる。 

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(3.23板橋では大家健vs木高イサミのガンプロvsBASARA戦闘民族のトップ対決も実現)

 その一方、4月14日の王子大会、ガンプロ3部興行では自身が代表となり「ぽっちゃり女子プロレス」を旗揚げ。現在、まなせゆうなの出場が決まっているこの大会(団体)、おそらくは文字通りのメンバー構成になると思われる。筋金入りのぽっちゃり好き、ぽっちゃり女性シーンにまつわるドキュメンタリー映画を監督してもいる「ルェベルの違うデブ専」こと今成は、こういう方向でも個人的な思いをリングに叩きつけるのである。

 「今成時代を確立するために、自分が好きなことを目一杯やっていきたい。自分が見たい選手、見たい闘い、やってみたいマッチメイク。それをリングでも作品でも見せていきます」

 大きなものを背負うのではなく、個人としての思いに駆られての闘い。いわば小さな団体の小さな闘いだ。しかしそれゆえに、今成の闘いには目が離せない切実さがある。

文・橋本宗洋

(C)DDTプロレスリング/宮木和佳子

(C)AbemaTV

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