3月30日に後楽園ホールで開催された立ち技格闘技イベント「Krush.99」は、「Krush」のネーミングで開催される最後の大会だった。王座や大会通しナンバーはそのまま引き継がれるが、今後はタイトルが「K-1 KRUSH FIGHT」に変更される。
今大会のメインイベント、つまり「Krush」としての最後の試合は、最後のタイトルマッチでもあった。島野浩太朗vs西京佑馬のスーパー・フェザー級(-60kg)タイトルマッチである。島野はKrushに強いこだわりを持ち「特別なリング」だと語っている。苦闘を重ね、昨年ついにベルトを獲得。今回が2度目の防衛戦だ。
対する西京は兄の春馬とともに活躍する兄弟ファイター。高校1年でK-1甲子園優勝を果たし、高校を卒業したこの春にタイトル挑戦のチャンスを掴んだ。キャリア6戦と、まだ新人の部類といってもいい西京だが、その試合ぶりはトップ級。テクニシャンでありながら5勝のうちKOが4つ。国際戦でもKO勝利を収めており、底知れない将来性を感じさせる。
このタイトルマッチでも、西京は圧倒的な格闘センスを見せつけた。序盤からジャブ、ローのタイミングが抜群。左フックのキレもいい。試合後半になると右ストレートもヒットし始めた。さらにサウスポーにスイッチしての左ストレートと、攻撃のバリエーションをさらに増やしていく西京。10代、タイトルマッチでこの落ち着きは驚異的だ。
劣勢の島野だが常に前に出て攻撃を続け、最終3ラウンドにはさらに手数をアップ。しかし、西京は冷静に右ストレートを決めてダウンを奪う。それでも終盤、猛反撃で西京の動きを止めた島野。王者として、Krushにこだわりを持つファイターとしての意地を見せたが、それを上回ったのが西京だ。苦しい場面でしっかりパンチをヒットさせ、勝負を決定づけるダウン奪取。判定3-0で、新王者誕生となった。
「高校生のうちにチャンピオンになるのが目標だったので嬉しいです」と西京。兄の春馬に続いてのベルト獲得だ。「これからどんどん強敵とやっていきたい」という若いチャンピオンは、最後の「Krush」でベルトを巻き、「K-1 KRUSH FIGHT」の歴史を作っていくことになる。
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