その勝ちっぷりがファンの目を引く若き実力者・菅井竜也七段(27)が、超早指し棋戦「AbemaTVトーナメント」の第2回大会に、予選Aブロック(4月28日放送)から出場する。プロの間では少なくなった振り飛車党ながら、通算成績は416局で292勝124敗、勝率.7019(2019年4月23日現在)と、7割超えの高勝率をキープしている。早見え早指しの傾向が強い菅井七段にとって、持ち時間5分・1手指すごとに5秒加算というオリジナルルールは、まさにうってつけ。「多くの方が僕の振り飛車を見たいと言ってくれると思うので」と、得意戦法を披露しながら、2代目王者を狙う。
とにかく指す。どんどん指す。相手棋士が頬杖をつき、腕を組み、頭に手をやりながらようやく1手をひねり出す中、菅井七段にはどこまで先が見えているのかと思うばかりに、次々と指す。2011年度には将棋大賞・新人賞を獲得し、早々に頭角を現すと、2014年度には勝率一位賞(0.7963)、最多勝利賞(43勝)、升田幸三賞の3部門を受賞。初タイトルとなる王位を獲得した2017年度には、優秀棋士賞にも輝いた。
その早指しゆえに、対戦相手も圧倒される。持ち時間に大きな差がつくことはしばしばで、持ち時間が少なくなるにつれて、この威圧感はさらに増す。AbemaTVトーナメント初代王者で、この2年ほど将棋界を盛り上げ続ける藤井聡太七段にも、2戦2勝。先輩棋士の貫禄を十分に見せつけた結果となっている。
昨年度こそ47局で27勝20敗、勝率.5744とプロ入り後初めて、勝率が6割を切る1年になったが、いつまたタイトル戦に登場してもおかしくない存在だ。対局開始早々、菅井七段の飛車がすっと横に移動した時、超スピードで進行する「菅井振り飛車」の時間が始まる。
◆AbemaTVトーナメント 将棋界で初めて7つのタイトルで永世称号の資格を得る「永世七冠」を達成した羽生善治九段の着想から生まれた、独自のルールで行われる超早指しによるトーナメント戦。持ち時間は各5分で、1手指すごとに5秒が加算される。羽生九段が趣味とするチェスの「フィッシャールール」がベースになっている。1回の顔合わせで先に2勝した方が勝ち上がる三番勝負。予選A~Cブロック(各4人)は、三番勝負を2回制した棋士2人が、本戦への出場権を手にする。本戦トーナメントは8人で行われ、前回優勝者の藤井聡太七段、タイトルホルダーとして渡辺明二冠がシードとなっている。
▶4/28(日)20:00~ 第2回AbemaTVトーナメント 予選Aブロック<前編>佐々木勇気七段、菅井竜也七段、近藤誠也六段、大橋貴洸四段