滋賀県大津市の交差点で8日、信号待ちをしていた保育園児の列に軽自動車が突っ込み、園児2人が死亡、13人が重軽傷を負った事故で、逮捕された運転手の女が「前をよく見ていなかった」という内容の供述をしていることがわかった。
事故は交差点を直進してきた車が、右折しようとした新立文子容疑者の車を避けようとして園児の列に突っ込んだとみられている。新立容疑者は取り調べの中で、警察官から「前をよく見ていなかったのか」という内容の質問を受けると、それを認める供述をしたということだ。警察は新立容疑者の前方不注意が事故のきっかけになった可能性もあるとみて、ドライブレコーダーの解析などを進めている。
園児たちが通っていたレイモンド淡海保育園には園庭がなく、午前中は散歩するのが日課で近くの琵琶湖湖岸にもよく行っていたという。保育園から湖岸までの経路を見ると、事故が起きた横断歩道より近い位置にもう一つ横断歩道があるが、そちらは信号がないため、信号がある少し離れた横断歩道を使っていた。散歩の際、保育園側は点字ブロックの内側を歩くなど安全対策を取り、今回信号待ちをしていた時も3人の保育士が園児を守るように車道側に立っていたというが、右折車に接触した直進車は後ろの園児たちの方に弾き出されたとみられている。交差点にはガードレールやポールなど歩行者を守るものはほとんどなかった。
安全対策を取っていても防ぐことができなかった事故に、2児の母であるテレビ朝日の大木優紀アナウンサーは「私も子どもを保育園に預けていて、午前10時過ぎは散歩の時間帯。こういう風に気候がいい時だと、『今ごろ散歩してるんだな』と考えたり、家に帰って『今日は外に行ったよー』と聞くと母親としてはすごく嬉しい気持ちになる。この園でもきちんと歩道を歩いていた中で“まさかこんな危険が”という、非常に痛ましい事故」と心境を吐露する。
一方、社会起業家の牧浦土雅氏は「日本の交通ルールは基準があいまい」だと指摘。「横断歩道で目の前の信号が青の時、右折左折するタイミングはドライバーの判断。死角からいつ自転車が来てもおかしくない中で、こういう事故が立て続けに起こるのは不思議なことではないと思う。人間の不注意=ヒューマンエラーを直すには文化的な問題もあり難しく、制度などを整えることが必要だと思う」との見方を示す。
さらに牧浦氏は、「何かアクシデントが起きた時に『自動運転で人身事故を減らそう』という方向に行きがち」としたうえで、宇都宮市や富山市で導入されている次世代型路面電車「LRT」を紹介。LRTとは、Light(軽い)、Rail(軌道系)、Transit(交通システム)のことで、交通量が多い“背骨”をLRTが担い、その他の小骨となる部分をバスや地域内交通などが担うというものだ。牧浦氏は「2018年に政府が出した自動運転車の安全技術ガイドラインでは、2025年に高速道路の完全自動化、一般道路での活用は2030年頃が現実的だろうとしている。それまでにまだ時間があるので、こういったシステムを使うことが必要だと思っている」と述べる。
しかし、LRTを導入できるのは地方都市で、都市部では難しいのではないか。その疑問には「確かに都市部のように行く場所がいろいろある場合は、自家用車の方が小回りがきく」と懸念を示しつつ、「LRTはシンガポールなどでは無人で運転され、基本的にはレール上しか走らないので安全性も担保される。最近日本でも注目され始めた新しい交通システムだと思う」と主張した。
(AbemaTV/『けやきヒルズ』より)
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