総合格闘技「ONE Championship」の世界ライト級王者であり、“バカサバイバー”の異名を持つ青木真也。その“空気を読まない戦いぶり”で、かつて対戦相手の腕を折ってしまったこともある男だ。
そんな青木がリングを降り、相手にしているのはパソコン。テレビもない1K・8畳の部屋でもくもくと執筆活動を行っている。前に進めない若者にエールを送る本など、著者はすでに5冊以上。その文才も注目を集めている。
3月31日、シンガポールにあるアジア最大級の格闘技団体「ONE Championship」の日本大会で青木は2年4カ月ぶりに世界王者に返り咲いた。昨年から数えると海外の強敵相手に4連勝、それはまさに35歳での王者復活劇だった。
「やるか、やられるか――」
リングの上でファンを熱狂させる青木だが、これまで2冊の自己啓発本を出すという格闘家とは異なる一面を持っている。3年前に出版された『空気を読んではいけない』の編集担当だった箕輪厚介氏は、青木について「格闘家“世界の青木”としての強さと一瞬メンヘラチックな精神の揺れみたいなのが激しいところのギャップが青木真也らしくていい」と語る。
先日、王者に返り咲いたリングの上で青木はファンに向かって「35歳になって好きなことやって、家庭壊して、一人ぼっちで格闘技やって、どうだお前ら、うらやましいだろ！俺はな、こうやってな、明日もコツコツ生きていくんだよ！」と叫んだ。
この時の様子を青木は「画としたら（家庭）円満な方が良いのだろうけど、壊れてもいい。壊れている人たちの希望として」と当時の発言の真意を振り返る。
12時前後と15時前後、1日に2回の練習をするという青木だが「スポーツ選手って毎日練習しているように思うが、効率的にやると2～3時間だと思う。部活の影響で非効率にやっているだけで、スポーツ選手って実は暇。長いと効率が悪いので良くない。試合も僕らで言うと15分とか25分しかやらないので。8時間やっても2時間やっても、実は一緒」と持論を展開する。
食事については「基本的には小分けにして必要な分を食べて、夜帰った時に足りてないものを調整する感じ。しっかりやりすぎるのも、結局自己満足でマスターベーションに近い。気を付けていることはほぼない。好きなものを食べている。海外に行っても食事は持って行かない」と述べる。
自身の著書『空気を読んではいけない』はサウナで企画されたという。
サウナが好きという青木は「サウナは12分で回す。サウナ入って、水風呂入って。大体4回か5回繰り返す。サウナは人生の縮図。ストレス浴びて我慢して、水風呂で開放されて、我慢して水風呂で開放されてといった感じで、まるで人生のようだ。サウナ中は水を飲まずに、解放されて飲むのを楽しむ」とサウナの楽しみ方について熱く語る。
著書にある“青木語録。“友達はいらない”について青木は「友達という定義で皆ライトに友達と言う。友達だよねって。でも実際の友達って2～3人だと思う。ライトな友達とか仲間とか絆とかそういう言葉にお前ら流されんじゃねえよっていう、ど正論言っているだけで。流されがち。友達だよねって。その緩い付き合いでどこかに行ったりだとか。それよりも本来ある本当に大切な物を大切にしろよっていうこと。全員を全員、付き合いで大切にできるのか。マックス3～4人、多くて5人くらい」と説明する。
意図的に孤独を作ることについても「（試合に）勝っていくと慢心になる。慢心していくのでどんどん孤独にしていくと自分が追求できる。実はスポーツ選手は慢心していくのを孤独に追い詰める作業。どこかその孤独に耐えきれられなくなった時に負けるのだと思う」と語る。だから、チャンピオンベルトだって家にはない。「ベルトを持って権威にすがっているのはすごいかっこ悪いと思っている。ベルトも持たないし、使ったものも一切家にない。ベルトとか賞状はデータで欲しい。重いし」
そんな青木は5月17日にシンガポールで行われる王座防衛戦を控えている。
対戦相手のクリスチャン・リーについては「20歳の若者でMMAの未来と言われている。僕も、多分この子がこれからの格闘技界で、アジアを背負っていくと思う。もう36歳なので段々衰えていく中で、1番強いときにやって自分を試してみたいという相手」と若きライバルに対して賛辞を惜しまない。
試合を控え、現在の心境について「最後まで覚悟は決まらない。試合に行くまで決まらないで、やりたくないと思っていて、最後は仕方なく行く感じ」と本音を漏らした。
36歳にしていまだ進化を止めない青木真也。格闘家、著述家としての彼の今後の 活躍から目が離せない。（AbemaTV『Abema Prime』より）
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青木真也、敵地・シンガポールで“王座陥落” リーの連打浴び無念のレフリーストップ
