きのう開幕した中国主導の「アジア文明対話大会」。出席した習近平国家主席は「他の文明を改造したり、取って代わろうとするのは愚かだ」とアメリカを牽制。「国際交流を強化することによって、アジア運命共同体の構築ないし、全人類運命共同体の構築を目指していくべきだ。今の中国は中国のものだけではなく、アジアの中国、世界の中国でもある」と、経済や文化で世界をつなげる重要なポジションにあることを強調した。
先月、アメリカでトランプ大統領と日米首脳会談を行った安倍総理は「令和時代も日米同盟は揺るがない」と、日米同盟の堅固さと、大統領との親密さをアピールした。その一方、中国が主導する巨大経済圏「一帯一路」については「国際社会共通の考え方を十分に取り入れることで、地域と世界の平和と反映に前向きに貢献していくことを期待している。日本はこうした観点から協力していきたいと考えている」(2017年11月)とも述べており、協力する意向も示していている。
関税による米中"貿易戦争"が第4ラウンドに突入する中、日本が付くべきはアメリカか中国なのか。この問いに、「一帯一路に協力するということは撤回し、アメリカと共にあるというスタンスを変えるべきではない」と主張するのが、筑波大学名誉教授の遠藤誉氏だ。
「BRICS+22カ国」「発展途上国77カ国+中国」といった共同体構想を示している中国。「一帯一路」は、中国による新たな世界秩序を作ろうという構想で、先月開かれた「一帯一路フォーラム」には150か国以上が参加している。
遠藤氏は「トランプさんが"アメリカ・ファースト"だとしてパリ協定やTPP、イラン核合意から抜けている状況をチャンスだと捉え、自らを中心とした新たな国連のようなものを形成しようとしている。今は133か国だが、フォーラムには150か国が参加したし、いずれ国連の193か国に近づいていくだろう。しかし、それはとても危険なことだ。言論統制、一党支配をしている国が世界を制覇するということは絶対に阻止しないといけない。その意味では中国に対しガンガン関税をかけるべきだとおもう。色々な企業が引き上げ、経済的に干上がってしまったら、一党支配体制は崩壊、民主化が実現する。もしトランプさんがそれを実現させられたら、歴史に名を残す偉大な指導者だ」と主張。
その上で、「逆に、中国が周りに形成している巨大グループを引き寄せて、アメリカなしのグローバル経済を伸ばし、世界が二極化する可能性もある。思想的にも社会主義国家と自由主義国家の価値観があり、対立するはずだが、やはり経済の方が優先され、中国についていく国が多くなるというケースもあり得るだろう。中国としてはヨーロッパや日本の参加に期待しているし、あるいは米国だけが入らないという状況になるかもしれない。1989年6月4日の天安門事件後、西側諸国が結束して対中経済制裁をしようとしたのに、日本だけがそれを否定した。さらに1992年には天皇陛下の訪中まで実現させた。その結果、中国は今のような経済発展ができた。今回、日本は中国側に立つのか、アメリカ側に立つのか、どちらなのか」と警鐘を鳴らした。
また、「安倍さんは12月26日、習近平さんを目の前にして"一帯一路の協力を強化する"と言ってしまった。自民党の二階幹事長も"アメリカの顔色を伺って日中友好を進めることができるか"というようなことを言っている。ハードパワーとソフトパワー、その間にシャープパワーという概念があるが、懐柔し、親中派にさせることによって、政権を覆してしまうくらいの恐ろしいところにまで至るのがシャープパワー。名前を挙げてはいけないが、二階さんや自民党の一部の幹部の方たちはそれに完璧にやられてしまっている」との見方もしめした。(AbemaTV/『AbemaPrime』より)