今年１月、千葉県野田市で栗原心愛さんが虐待を受けて死亡した事件を受け、今国会では児童虐待防止法案の支援体制や、関係機関の連携を強化した改正案が審議されている。
児童虐待防止法の改正案には、親からの体罰禁止、児童相談所の体制強化として医師・保健師を置くこと、転居先の関係機関と速やかに情報共有することなどが盛り込まれている。与野党は23日に実務者協議で修正案、合意し24日には安倍総理が出席する厚生労働委員会で採決される予定だ。
この改正案で歯止めはかかるのか。そしてなぜ虐待はなくならないのか。生後１か月の息子を叩きつける、４歳の長男に煙草の火を押し付けるという事件が報じられるなど、虐待は後を絶たない。
11か月の子どもがいる芸人の古坂大魔王は「僕の場合、ちょうどいい時期というか、『PPAP』とかがあって、なんとなく世の中に受け入れられてよかった、という時に結婚ができて、子どももできた。その中で哲学の本を読んで人生は１回しかない、芸人の世界では昭和の風潮もあるけど、自分は新しいこと始めた旗頭っぽいところがあるから、よし育児をしようと、休みを取って頑張ってみた。２日間"ワンオペ"をしてみたが、無理だった。インターネットには怖いこともたくさん書いてあるし、誤った知識と偏った知識で不安になってしまう。なにより他と比べなきゃいけない。そして寝られないので、正確な判断もできなかった」と明かす。
「夜に泣いたとき、いいマンションに住んでいればいいが、安いアパートだと隣の部屋の人に怒れる。だから10秒でも早く泣き止ませなきゃいけない。でも赤ちゃんは泣き止まない。近所の理解があればいいが、誰が住んでいるか分からないという時点で無理。それでも奥さんの100分の１か２くらいだったかもしれない。僕も奥さんに"あんただけずるい"とよく言われる。"仕事に行ってくるね""今日大変だったよ"と言うと、"あんただけ好きに仕事をしていてずるい"と。もう一つ、"あんただけ寝れてずるい"とも言われる。お風呂に入って裸で抱き合ったときは、まぁ気持ちがいい。だけどやっぱり寝られない。寝ていないときに美味しいものを食べても美味しくない。そこだと思う。これを仕事を一生懸命やらなければいけない時期や精神的に余裕のない時期に365日やらなければならないとしたら…。お母さんに来てもらっても、30年前の育児と今の育児は違うから、そこでまた揉める。"無理ゲー"だ」。
さらに古坂大魔王は「やはり、"子どもは絶対に必要だ"と考えるべき。少子化の何が問題かというのをサラッとしか言わないが、"収入が減る。税収が減る。仕事がなくなる"といったことではなく、国の存亡に関わると思う。国のために子どもが必要なんだということを、ドラマでも歌でもいいから、もっと広まれば根本的に解決する気がしている」と語った。
慶應義塾大学の若新雄純特任准教授は「僕の妹も１歳の子どもがいて育休中だが、"兄ちゃんの周りに、偉そうに喋っている人がいるじゃん。それ誰の話？私みたいに普通に暮らしている人間に一切そんなサービスは届かないし、使えない"と言われた。確かにネット上の記事には、"これからの女性には新しい子育てがある"とか"新しいサービスがある"みたいなことが書かれている。まさに年収が1500万円くらいあるとか、いい大学を出て、何かのメディアを運営していますとか、そんな人ばかりが出てきて、"子育ては自由、女性は解放とか言っている。今回の法案の話も、本当に庶民のリアルな子育てを知っている人が考えているのかと感じている」と指摘。
フリーアナウンサーの柴田阿弥は「私が小さい頃は父が忙しかったので、母はワンオペ。しかも年子の弟が寝ないタイプで、泣きわめいていた。ある日、母が虐待のニュースを見ていたときに"虐待をするタイプの人というのがいると思っていたが、そうではなく、誰しもそうなってしまう可能性があるくらい追い詰められるよ"と言った。母性が足りないとか、子どもを育てる喜びがないという言葉で片付けるのは無理。共働きが当たり前になってきて、シングルマザーもたくさんいる一方、地域の目を入れるのも難しいとなると、もっと育てやすい環境を作らないといけないと思う」と話した。（AbemaTV／『AbemaPrime』より）
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