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(岩下社長、豊田SVによって救われたミヤティコ=松本都)

現在のマット界で、その行動が最も予測できないレスラーの1人がアイスリボンの松本都だ。何を考え、何を目指して何をしようとしているのか、本当に読めない。従来のプロレスラーのイメージを覆す存在であり、しかしその自由さはプロレスならではとも言える。

日大芸術学部出身、レスラーになったきっかけもプロレスを題材にした映画への出演だった。自身が代表を務め、所属も自分だけという団体「崖のふちプロレス」を旗揚げしたり、アイドルグループ(?)のメンバーとしてメジャーデビューしたことも。最近では後輩レスラーによるアイドルユニットをプロデュース、また各ジャンルの人気アーティストを招いてのライブを主宰したことも。

客観的に見て“実力よりキャラ優先”な選手ではあるのだが、その濃すぎるキャラがリングでの力につながるのか、アイスリボンの頂点のベルト・ICE×∞のベルトを巻いたこともある。そしてチャンピオンになった途端、「都政権」に異議を唱える若手の突き上げを食らったのだった。

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(大阪大会で都とぶつかるバニーは「令和最初の新人」。トップ選手2人を相手にデビューしている)

数年前、「30歳を機に年齢非公開にします」とわざわざ宣言したことでも知られる松本都は、5月3日の横浜大会で真琴と対戦。「アイスリボン追放マッチ」として行われたこの試合で敗れ、追放が決まった。

が、都は即座にメキシコにいるという生き別れの双子の妹・ミヤティコのアイスリボン参戦を発表。とにかくただでは引き下がらないところを見せつけた。

5月18日の道場マッチで堂々のアイスリボン参戦を果たしたミヤティコだったが、ここでいきなり敗戦。かつ試合ぶりが松本都でしかなく、豊田真奈美スーパーバイザーを含めたアイスリボンのメンバーからあらためて追放宣言される。

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(アイスリボン3冠を達成、新エースとして存在感を増している雪妃)

ここで助け舟を出したのが「岩下の新生姜」でおなじみ岩下食品の岩下和了社長だった。同社は昨年のアイスリボン横浜文化体育館大会を協賛。その際に岩下社長は豊田SVと共演した。それが松本都プロデュース企画でのことだったため、今年も協賛することで都の追放はあっさり取り消しに。

人徳とは口が裂けても言いたくないが、妙な引きの強さを見せた松本都。5月25日の大阪大会に出場では松屋うの、バニー及川とトライアングルリボン(3WAY)で対戦する。

バニーはもともとアイスリボンのレフェリーで、今年5月1日に選手としてもデビュー。つまり“プロレス界・令和最初の新人”だ。しかもデビュー前、レフェリーとしてトライアングルリボン王座を奪取。デビュー戦がタイトルマッチという異例のキャリアを持っている。

この試合で雪妃真矢にベルトを奪われたものの、バニーは雪妃、藤本つかさという団体トップ選手を相手に健闘。トライアングル特性は高そうだ。クセだらけとしか言いようがない松本都との対戦を乗り切ることが成長にもつながるはず。メインのICE×∞選手権、雪妃vsジュリアやタッグトーナメント準決勝と並んで、この試合も大阪大会のポイントになりそうだ。

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