51歳のベテラン、藤崎智(連盟)がRTDに初参戦する。ヤミテンを主体に戦うことから、ついた異名は“麻雀忍者”。名付け親は、TEAM雷電・萩原聖人(連盟)だという。「15年ほど前、寿人(佐々木寿人)と一緒に解説していた時に、寿人がなんでもリーチしますっていうから、じゃあ俺はなんでもリーチしません。絶対にヤミテンにしますなんて掛け合いがありまして」。その掛け合い以降、映像対局ではヤミテン主体の麻雀にならざるを得なかったと笑う。「それでMONDO TVの映像対局等でヤミテン主体に打っていたら、解説だった萩原さんから忍者みたいだと言われまして。このひとことが麻雀忍者と呼ばれることにつながったんです」と萩原に心底感謝している。
以降、せっかく呼ばれるのであればと意識していったことが、日本プロ麻雀連盟の最高峰タイトルである鳳凰位をはじめ、好結果につながったという。「リーチしようか、仕掛けようか微妙に迷っていた局面においても、忍者だから気配は出さないほうがいいんだよね」と、判断もシンプルになったそうだ。
2018年の夏頃に体調を崩して入院し、リーグ戦を休場した期間もあった。「Mリーグのドラフト会議は病院のベッドの上で見ていました。正直悔しかったですね。周りの人からお前持ってないなとよく言われましたけど、もしも万が一、指名されたとしても入院は避けられなかったので、指名されてから入院してしまったらと考えれば、いい時期に入院して俺は持っているのかなと思えるようになりました」と、当時を振り返った。
その藤崎がグループCで対戦する相手は、奇しくも全員Mリーガー。同団体の佐々木寿人(連盟)との対戦経験は豊富。鈴木たろう(協会)とは10年ぶり。松本吉弘(協会)とは初対戦となる。「道中はついていくのが精一杯だとは思うんですけど、ついてさえいければなんとでもなる。一応、経験の差だけはあるので。ただついていけるかどうかなんですが」と苦笑い。
自身のスタイルに関しては「現代風の麻雀ではないので、今の若い人たちのキレのある麻雀は打てないんですけど、あまりつかみどころのないような自称ちっちゃい麻雀で頑張っていきます」と謙遜するが、藤崎の打ち筋を目標とする後輩プロも多い。
将棋界の藤井聡太七段のように麻雀界も若きスター選手が渇望されている昨今。「そんな中でいい脇役っぷりを出せればいいのかなと。渋いなっていう感じの脇役になれればいい」と後輩たちが脚光を浴びるような世界になることを願い、その一助が自分の役割だと考えている。
「昨年までは十段位を持っていたんですけど、ノンタイトルになった今、主催者側が期待してくれているんだと思うので、そこは重く受け止めています」。
次世代に光が当たる中では、まさにMリーガーらにとっても脅威の存在だ。【福山純生(雀聖アワー)】
※連盟=日本プロ麻雀連盟、最高位戦=最高位戦日本プロ麻雀協会、協会=日本プロ麻雀協会
◆RTDトーナメント2019 2016年から3年に渡り行われてきた「RTDリーグ」から、トーナメント方式に変更。昨年行われた「RTDリーグ2018」の予選リーグ(WHITE・BLACK)の上位各6人、推薦枠として2人の計14人に加え、予選リーグ7位の2人と新規参戦2人の4人による入れ替え戦(サバイバルマッチ)から上位2人が本戦に進み、計16人で行われる。16人はA~Dの4グループに分かれ、半荘4回戦で対戦。トータル2位が準々決勝A(上位3人が準決勝進出)、同3位が準々決勝B(上位1人が準決勝進出)へ、同1位は準決勝(上位4人が決勝進出)に進む。主なルールは一発・裏ドラ・赤(各種1枚)あり、全自動卓による自動配牌のMリーグルール。
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