安倍晋三内閣総理大臣の在職日数が、初代総理大臣の伊藤博文を抜いて歴代3位の長期政権となった。
「国民の皆さまから力強いご支援をいただいたおかげで、ここまで来ることができました。皆さまにお約束した一つひとつの政策をしっかりと前に進めていくことによって、その責任を果たしていきたいと思っております」
そのように話した安倍首相だが、このまま政権を維持することになれば、8月に戦後トップの在職日数を記録している佐藤栄作の2798日を超え、さらに11月には、戦前の桂太郎の2886日を超え、憲政史上最長の在職日数となる見通しだ。
2007年8月27日に成立した第1次安倍内閣で厚生労働大臣を務めた国際政治学者の舛添要一氏は、安倍首相がこのような長期政権を樹立していることについて「(第1次安倍内閣では)お腹が痛くなって急に辞めちゃいましたね。あの時はボロボロだったので、まさかこうなるとは」と驚きを交えながら当時を振り返ると、その要因について次のように持論を展開した。
「野球と同じで、エースばかりが投げていても、エースが故障したら誰が投げるのか? 最低4、5人は揃えておかなければならないが、今の自民党にはリリーフがいない。だから一人で投げている。自民党の中には、とにかく人がいない。一方の野党もダメで、まったく打てない。だから、少々のヘボ球でも大丈夫。この最悪な状況なので、自民党の中がもっとしっかりしなければ」
さらに舛添氏は、かつての昭和時代に活躍した5人の大物政治家「三角大福中(三木武夫、田中角栄、大平正芳、福田赳夫、中曽根康弘)の名前を挙げると「田中角栄のイメージがロッキード事件で悪くなったとき、クリーン三木が登場したことで国民は『自民党にはクリーンもいるじゃないか』となった。それくらい昔の自民党には政権交代のイメージがあった。それが今、安倍さんに代わる政権交代のイメージはあるか? 石破さん、岸田さん、河野太郎さんなどの若手が出てきていて、野田聖子さんという女性もいる。ただ、どなたも安倍さんに匹敵することはない。昔に戻った方がいいと言うつもりは無いが、今の派閥は意味が無く、これは小選挙区制の弊害だ」と話し、安倍長期政権の陰に潜む自民党の問題点を指摘した。
この意見に対して元衆議院議員の宮崎謙介氏は、小選挙区制になった経緯について「二大政党制を目指した」と話すと、その後から現在に至る経緯について「民主党が政権を取ったがダメだった。その間、野党となった自民党はウィークポイントを反省・分析したうえで政権を奪還した。そこで自民党が巧みだったのは、本来は“自民党的ではない”ものまで、どんどん抱き込んでいるため、自民党に付け入るスキが無くなっている。そのため野党から見ても政策的に切り込むポイントが少なくなっている」と分析。現在の安倍長期政権を支える自民党の戦略や強みを解説する一方で、野党については「中心となる人物がいない。枝野さんが立憲で頑張っているが、“国民民主党憎し”でやっている以上は難しい。いざこざや恨みを乗り越えてやっていかなければ」と話すと、「橋本徹氏を迎え入れれば、勝ち目もあるかもしれない」と“野党復権”の仰天プランを提案した。
宮崎氏の意見に賛同したのは、ネット問題に詳しい文筆家の古谷経衡氏。古谷氏は「かつて小泉さんが掲げた郵政民営化の抵抗勢力として自民党を追い出された人々は今、その全員が自民党に戻ってきている。郵政関係をはじめ、農協、都市部の中産階級と大企業など、労働組合以外は自民党が押さえている。それら抵抗勢力を全て取り込んだ結果として、今の自民党は“敵なし”状態にある」と宮崎氏の意見に続いた。
宮崎氏はさらに、その“敵なし”状態といえる自民党の支持率が30%台であるのに対し、無党派層が40%であることを指摘すると「そこを取り込むには世論をつくること。希望の党が勢いを増したとき、自民党内には『もしかしたら』という雰囲気があった。可能性が無いことはない」と力説したが、23歳で起業したIT企業家の関口舞さん(28)は「無難。現状維持の方が安心かな。ずっと自民党がやってきているので、見慣れてしまった」と若者の本音を代弁していた。(AbemaTV『Abema的ニュースショー』より)
(C)AbemaTV
【見逃し動画】本編20分過ぎ
安倍長期政権を生んだ“2つ”の要因、舛添氏「与党にはリリーフがおらず、今の野党は“ヘボ球”でも打てない」
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