「木造化を進めて、早く名古屋の宝物を作ってくれというのが名古屋市民の間違いない意志だと」(河村たかし市長)。
 観光の目玉にと、総工費505億円をかけ、鉄筋コンクリート製の天守を木造で復元するという一大計画が進む名古屋城。しかし、「天守の復元よりも先に守るべきものがある」と憤るのが、考古学の専門家たちだ。400年の歴史を持つ文化財の保護が問われる現場の今を取材した。
 徳川家康が全国の大名に命じて築かせ、1615年に完成した名古屋城。1930年には城としては第一号となる国宝に指定されたが、1945年の名古屋大空襲で天守が焼け落ちてしまう。1959年には復興を願う市民の寄付によって費用のほとんどが賄われ、残された石垣の上に鉄筋コンクリート造りの天守が再建された。