来年までに"待機児童ゼロ"を目指す小池都政。しかし、11日放送のAbemaTV『NewsBAR橋下』に出演した橋下徹氏と乙武洋匡氏は、待機児童の最終的な解消のためには、解決しなければならない様々な課題が残ったままだと指摘する。
乙武氏はまず「無理ではないか。まず、どんなに箱を増やしたところで、働いてくれる人を増やさなければ保育園は成り立たない。保育士さんたちの待遇はまだまだ良くないし、特に私立では離職率がすごく高くなっている。ここを改善しないと難しい。そして箱についても、"100平米の壁"というのがある。つまり、これを超えるとスプリンクラーの設置義務が生じるなどの制約がある。でも、そうした改装を建物のオーナーが嫌がるという問題も出てくるので、そういう規制改革していかないと、箱も増えないと思う」と指摘
さらに「政治の問題だけではなく、企業の問題もある。これだけインターネットが発達しているんだから、モバイルワーク、テレワークをもっと進めたらと思うセキュリティの問題や、職種によっては難しいかもしれないが、今の時代、全員が同じ時間に電車に乗って出社しなくてもいいはず。僕の事務所でも、一人は出勤が週に一度になっていて、それ以外はこちらからメッセージを送った仕事を自宅で処理して、報告してもらうようにしている。直接会ったほうが伝わる、というのはヨーロッパでもそうだが、一方で、"あらゆる状況の人に配慮する"という文化もある。子育て中のお母さんや障害者が来るのは大変だよね。だったらテレビ会議の方が平等だよね、と。そういう工夫をガンガンやっていけば、待機児童の解消にもつながるし、小池さんの公約の一つだった満員電車の解消にも繋がると思う」と提言した。
すると橋下氏は「総務省が旗を振って、オリンピック期間中は霞が関の官僚にテレワークをさせるらしいけれど、企業もやらないといけないと思う。実は僕も大阪市長時代、市役所にシステムを導入して挑戦した。大阪市では区が市の機関なので、24人の区長たちは僕の部下だった。だから会議をすると、24の区役所からそれぞれが僕のところに集まってくる。でも、往復の時間がもったいないから、もうテレビ会議でやろうと。やってみたら、会議が終わったあと、"市長、ちょっとこの話は直接言わせて下さい"と。会わないと熱が伝わらないから、みたいな(笑)。他にも、日テレさんの番組の働き方改革特集で僕が出演することになったとき、"打ち合わせさせて下さい"と新幹線に乗って東京から大阪に来た。そういうのもテレビ会議でいいじゃんと(笑)。でも、日本には直接会わないと、というのがあるよね。裁判の世界も徐々に変わってはいるけれど、欧米がインターネットでガンガンやっているところを、今も紙とかFAXが多い。直接顔を合わせて、というのも多いしね」とコメントした。
一方、橋下氏は「東京の決定的な課題、一番の欠点は、待機児童の解消について、小池都知事が号令をかけているということ。それは東京都知事に権限とお金が残されているからであって、普通は市区町町村長がやるべきこと。本当に必要なところに保育所を作るためにも、やっぱり住民に近いところが計画すべきだし、そのためには医療・教育・福祉分野の権限は早く市区町村に全面的に移すべき。そして、都は身近な住民のサービスに口を出すのではなく、もっと大きなことをやればいい。安倍さんだってそう。日本では首相が待機児童解消の旗を振っているけれど、プーチンやトランプがそんなこと言ってる?ミサイルの問題とか軍事の問題をガツンガツンやって、保育所なんて州や県がやればいい、というスタンス。日本は中央集権だからこうなるけれど、任せるところは任せなきゃ」と、従来の持論である地方分権にも言及。「吉村大阪府知事は、大阪市長のときに270万人都市で待機児童の解消を実現させている」と功績を讃えた。
これに対し、乙武氏も吉村府知事のツイートに触れ、「吉村さんとお会したことは無いけれど、Twitterは見ている。待機児童が減少しているというツイートでは"この裏には血の滲むような職員の努力がある"と書いていた。140文字の中で、そういうことをきちんと伝えられるのは良いリーダーだと思う。現場の士気も上がると思う」と賞賛すると、橋下氏は「あれね、吉村さんは"腹黒"だから、本当は自分の力だと思ってる(笑)。そうやってガッチリ若いお母さんのハートを掴む。とにかく腹黒い(笑)」と笑っていた。(AbemaTV/『NewsBAR橋下』より)