その結末は劇的だった。日本キックボクシング界の“神童”、その“因縁の相手”とされたムエタイの英雄は、神童の一撃によって額をカットし、骨を露出させるほどの負傷により無念のゴングを聞くことになった。
21日、エディオンアリーナ大阪で『Cygames presents RISE WORLD SERIES in OSAKA』が行われ、58キロ以下の世界トーナメントの準決勝において、RISE世界フェザー級王者の那須川天心(TARGET/Cygames)がスアキム・PKセンチャイムエタイジム(タイ/PKセンチャイムエタイジム/ルンピニースタジアム認定スーパーフェザー級王者)に3R、レフェリーストップによるTKO勝利を収めた。
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1R、距離をとりたいスアキムが、右ミドルをロングレンジから蹴って牽制すると、天心は右・左のワンツーで飛び込んで距離を詰め、さらにスリーでローまでまとめていった。スアキムの肘が入るアクシデントもあったが、試合序盤はこの試合に向けてパンチのトレーニングに励んだというスアキムを天心のスピードが上回っていた。
2Rは出だしからワンツーで飛び込んでいく天心に対して、スアキムは天心が飛び込んでくるタイミングでのカウンター狙い。さらに時計回りにステップしながら、攻撃のタイミングをうかがっていく。中盤以降、スアキムの防御の意識が上に行ったところで、天心はパンチに加えて左ミドル、さらにボディーへのストレートを繰り出していった。着実、的確にクリーンヒットを重ねる天心に対して、スアキムはやや攻め手を欠いた。
3R、開始と同時にスアキムが鋭い右のミドルを入れると、天心も打ち合いに応じて一気にヒートアップ。AbemaTVで解説を務めた元ボクシング世界三階級制覇の亀田興毅は「無理に打ち合いに応じる必要はない。それが天心のスタイル」と話した次の瞬間、胴回し回転蹴りを繰り出した天心のかかとがスアキムの額にヒット。スアキムは流血と共に骨を露出させた。
ドクターチェックの後、レフェリーストップによるTKOが宣告され那須川天心のトーナメント決勝進出が決定した。試合後、「スアキム選手、前回よりも圧力あって本当に強かった。今回は色々と試そうと、パンチ貰っちゃいましたが、皆さん面白かったですか? もっとやりたかったけど、胴回し回転蹴りでパックリ切れちゃったんで……日本人を勝たせるためのトーナメントじゃなくて、強いヤツを集めた結果がこれなので。これからも最強を目指して、こんなので止まらないんで。応援よろしくお願いします。スアキム選手、もう一度やりましょう」と語った天心。
なおこの日の解説席には、RISEの現ウェルター級王者である“ブラックパンサー”ベイノア(極真会館)が。勝負を決した瞬間について問われたベイノアは「すごいですね。アレは出せないですよ」と切り出すと、自身の空手経験を踏まえて「(受ける側からすると)全く見えないんです。一瞬で消えて、そこに足が飛んでくる。空手の技の引き出しも凄いですけど、閃きが凄い。(天心は)戦績以上に空手の試合をやっているので、“ここでコレ出すのか!?”という技がたくさん出てきます」と那須川天心の凄さを語った。
なお、決勝ではルンキットを破った志朗との日本人対決が行われる。
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