7月21日のK-1 KRUSH FIGHT後楽園ホール大会では、日本vs中国7対7対抗戦が行なわれた。今回で3度目となる恒例の企画だ。
近年、中国の格闘技界は大きな盛り上がりを見せており、強豪外国人選手が次々と参戦。中国の選手もレベルアップが著しい。KRUSHの選手たちも、たびたび中国に乗り込んでいる。
今回の対抗戦も、まさに一進一退。5試合目までで日本の3勝2敗という競り合いだ。その中で目立ったのが、中国勢のフィジカルと粘り強さ。相当な意気込みで日本に来たことが感じられた。
6試合目、副将戦ではジャオ・チョンヤンが伊藤健人に勝利。顔面に飛びヒザ蹴りをヒットしての失神KOという豪快な勝ちっぷりだった。これで3勝3敗、対抗戦の決着は大将戦に委ねられることに。
ここで登場したのが卜部功也だ。K-1でスーパー・フェザー級、ライト級と2階級を制覇した、世界トップ中のトップと言える強豪である。3月に王座陥落、一時は引退も考えたという卜部だが、この対抗戦を復活の場に選んだ。
序盤は軽快なワンツーを飛ばし、調子の良さを感じさせた卜部。しかし中国チームの大将ジュー・シュアイは「卜部選手はコンビネーションがうまい。そこにカウンターを合わせようと狙っていました」と言う。
距離を詰め、卜部がロープ際に下がったところで右を一閃。ダウンから立ち上がった卜部だが、ダメージを見てレフェリーが試合を止めた。「まさか」としか言いようがない1ラウンド55秒でのKO負けだ。対抗戦は、これで中国の勝利に。
フィニッシュのパンチは出会い頭、不意の一発にも見えたが、ジューだけでなく卜部も「あれは偶然じゃない。狙ってたと思います。素直に負けたと思ってます」。調子はよかっただけに悔しい敗戦となった。
前回はベルトを失い、今回で2連敗。ファンにとってもショッキングな結果だ。特に今回は秒殺で「やった気がしない」と卜部。だが、だからこそ闘志に火がついてもいる。「60戦もやってればこういうこともありますよ」と気持ちを切り替え「感覚を取り戻さないといけない。そのためには試合しないと。すぐにでもやりたいですね。実戦で取り戻すしかないんで。試合ができるなら海外でも」とインタビュースペースで語った。
もちろんダメージのことは考えなくてはいけないが、卜部が意気消沈していないことだけは確か。K-1、KRUSHが生んだ類稀なる技巧派、その復活を待ちたい。
文・橋本宗洋