「あなたは"死後の世界"を信じる?」そう渋谷の若者に話を聞いてみると、実に7割の人が存在を信じていると回答した。
その理由について、ある女性は「病院のベッドで寝ていたときに意識が止まって、この世の違うところにいた」、別の女性は「駐車場から落ちて、息できなくなって、走馬燈が見えた。これまでの記憶が全部。自分の目線じゃなくて、他のところからの目線で見てって感じだった」と話した。つまり、病気や事故で死を間近にした人が横たわる自分の姿を見下ろしたり、三途の川や花畑で死んだはずの人と話したりする不思議な体験、いわゆる"臨死体験"だ。
多くの臨死体験者を取材している明治大学意識情報学研究所の岩崎美香氏は「アメリカでは40年くらい前から研究が進められていて、宗教とか文化に関わらず大変、共通性があるといわれている。自分の姿を俯瞰して見るなど、いろいろなパターンがあるが、日本人の場合、花園や川が出てきて、向こう側から亡くなった人が呼んでいる場合もある。信じているからその体験が起きるということではなく、むしろ宗教的観念などとは別に起きるのではないかと言われている。20例中13例くらいの人が"死後に続く世界があるのではないか、死が怖くなくなった"と言っていて、人生観などが変わるのもそういったことが大きな要因になっている」と話す。
アメリカの物理学者、シーン・キャロル教授によると「臨死体験は物理学において、死後の世界が存在するなら“意識”が肉体から完全に分離できないと成立しないため、物理学の見地からそれは不可能だ」としている。また、イギリスの物理学者、スティーヴン・ホーキング博士は「人間の脳は機械のコンピューターと同じで壊れたらその機能を失う。あの世の世界はない。死を恐れる人たちのファンタジーでしかない」と死後の世界について否定的な見方を示している。
また、こうした臨死体験が死後の世界だと呼べるのか。3000人以上の医師に尋ねたアンケートでは、8割が否定的な見解を示したという。その根拠は、死の寸前、苦しみを抑えるため脳が見せている幻覚だというものだ。脳科学でも、心肺停止後30秒は脳が活性化するため、側頭葉が異常活動して走馬灯や死者との出会い体験が起こっているとされている。
一方、それでは説明がつかない現象もあると主張しているのが、脳外科医のエベン・アレグザンダー氏だ。2008年、髄膜炎によって死の淵をさまよった際、臨死体験をしたとことから、考えが180度変わったのだという。「素晴らしい景色の谷を飛んでいて、周りには蝶が飛んでいた。そして、隣には美しい女性もいた。会ったことがない女性だったが、彼女に見守られていると感じた。そして"愛の繋がりは保たれている"というメッセージが聞こえてきた。この時、私の脳は髄膜炎によって知覚する部分が損傷していた。だからあの時、私の脳は幻覚を見せることは不可能だった」。
意識が回復、一命をとりとめた後も女性のことが気になっていたというアレグザンダー氏。4か月後、会ったことのない、死んだ妹だったことがわかったという。「生後まもなく養子に出されたが、妹がいるとは聞いていた。手術の数年前に死んでしまったそうだが、実の両親から写真が届いた。そのときに、見守られている感じや愛でつながっているというメッセージ、その全ての意味が分かった。写真の中の彼女は私を見て"私を見つけた?分かった?"と言っているようだった」。アレグザンダー氏が研究をまとめた著書は、200万部を超えるベストセラーとなった。
続いて向かったのは青森県。死者の魂を呼び出し、あの世とこの世をつなぐ"口寄せ"を行うイタコがいる場所だ。お笑い芸人の石井てる美が、松田広子氏を通して、22年前に亡くなった母方の祖父との対話を試みた。
「とにかく孫が大好きで、かわいがってくれた。おじいちゃんの家に会いに行くのが人生の楽しみだった」という石井。松田氏が祈ること約5分、すると「よくここまで気にかけて呼んでくれて、その気持ちはすごくうれしく思ったし、まさかこんなにあっけなく旅立つと思わなかったし、認めたくなかった」と語り始めた。
真剣に耳を傾け、「おじいちゃんは元気にやっているんだね。何しているの?」と尋ねると、松田氏は「今はちゃんと体の方も楽になって、元気だった時の体に戻っているので安心して。よくここまで気にかけて呼んでくれて、その気持ちはすごくうれしく思ったし、夢の中でも会いたい、話がしたい、そう思ったり、考えてくれたりしてくれて、その気持ちはすごく嬉しく思ったし、本当にありがとうとつくづく思ったよ」と答える。
松田氏から発せられる言葉を涙を流しながらじっと聴いていた石井は「大人になってもあの頃のおじいちゃんとしゃべって…何だろうな、うまく伝えられたかな」と話していた。
松田氏はあの世について「あると思う。この世よりも時間の流れがゆったり流れていると思う。パラレルワールドがあればいいけどね」と語っていた。
"生まれ変わり"や臨死体験研究の世界的拠点であるバージニア大学の客員教授も務める、中部大学教授の大門正幸(言語学)は、「脳の損傷によって言葉に障害が出る失語症があるので、脳が言葉を生み出しているという考え方はある意味では正しいが、それでも"こういうこと言いたい"という思考の部分はなくならないし、脳が完全に停止しているはずなのに、思考したり、会話らしきものを交わしたりすることもある。そうなると、思考のありかはどこなのだろうかということになる。死後の世界そのものというよりは、人間の意識、心というのがどういうものなのかと。それを言葉という方から考えた時に、肉体と離れたところに意識があると思わざるを得ないような現象に突き当たる」と話していた。(AbemaTV/『AbemaPrime』より)
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